61歳の挑戦者、時速33.4キロで魅せた情熱──車いす陸上・伊藤智也、史上最年長メダルの先にある未来

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日本代表史上最年長となる61歳でのメダル獲得という快挙を成し遂げた伊藤智也選手ですが、陸上男子400メートル(車いすT52)での3位という結果に対して本人はあまり関心を示していませんでした。「さっき聞いてびっくりした。ちょっとうれしいかな」と語る彼にとって、何よりも誇らしかったのは、時速33.4キロという自己最高速度を記録したことだったのです。

この年齢になってもレースを続けている背景には、埼玉県寄居町にある工業デザイン会社RDSとの特別なプロジェクトがありました。RDSは最先端の車いすレーサーを開発し、その技術を社会に還元することを目指しており、伊藤選手はその理念に共感して自ら乗り手に名乗りを上げました。このプロジェクトの成果として、今回のレースで記録したスピードに伊藤選手の笑顔の理由がありました。

東京パラリンピックでは、本来のクラスであるT52ではなく、より軽い障害の選手が集まるT53クラスに直前で変更されるという厳しい状況に見舞われ、予選敗退という悔しい結果に終わっていました。しかし、その後も諦めることなく大会に出場し続けた結果、今年6月に受け直したクラス分けで再びT52と認定され、パリパラリンピックへの切符をつかみ取ったのです。

「この3年間は全然無駄ではなく、一度も諦めなかったからこそ、こうして帰って来られた」と語る伊藤選手の言葉には、並々ならぬ努力と覚悟が感じられます。さらに「体がもつなら4年後のロサンゼルスにも行きたいぐらいだ。パリはその入り口になったかな」と前向きな意欲を見せ、今後のさらなる挑戦を示唆しました。挑戦を続ける姿は多くの人々に勇気を与え、次なる舞台でも彼の情熱が観客を魅了し続けるでしょう。

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