35歳、全盲のスイマー富田宇宙──逆転の400m自由形で魅せた“頑張るおじさん”の底力

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男子400メートル自由形で富田宇宙が力強い泳ぎを見せ、見事に銅メダルを手にしました。レース序盤は4番手と出遅れましたが、残り150メートルで「持ち味のスタミナを信じて勝負をかけた」と語る通り、鍛え抜いた心肺機能を武器に水をかき続けました。そして、後半にスピードを上げ、激しい追い上げで中国の選手を抜き3番手に浮上。狙い通りの展開でゴールを果たし、2大会連続のメダル獲得に成功しました。「今回はメダルを取れないことも覚悟していたので、ほっとしています」と安堵の表情を見せつつも、その顔には満足感がにじんでいました。

富田選手は全盲であるため、泳ぐ際にはレーンから外れないようコースロープに触れながら進む特別な技術が必要です。この方法は通常の泳法に比べて体力の消耗が激しいため、東京大会後は負担の大きい400メートル競技から一旦退く決断をしました。しかし、海外の若い選手たちの活躍に刺激を受け、昨年夏から再挑戦を決意します。「大学生並み」と自ら表現するほどの厳しいトレーニングと、脂質を抑えた食事管理によって、再び長距離向けの体を作り上げたのです。

この努力はレースの結果にしっかりと表れました。200メートル地点では3番手との差が2秒以上ありましたが、それを一気に縮め、逆転に成功。「頑張るおじさんの姿を見せられたかな」と笑顔を見せる富田選手。その言葉の裏には、年齢を重ねても挑戦を続ける強い意志が感じられます。そして最後には、「あと1、2個メダルを持って帰りたい」と意気込みを語り、さらなる挑戦に向けて意志を新たにしました。

このレースで見せた逆転劇と諦めない姿勢は、多くの人に勇気と感動を与えたでしょう。35歳の挑戦は、年齢を理由に限界を感じている人々に、新たな希望を灯すものとなったのではないでしょうか。富田選手の次なる活躍に、ますます期待が高まります。

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