2019年07月08日の東京株式市場において、アパレル大手のオンワードホールディングスが厳しい局面に立たされました。株価は3営業日ぶりに反落し、一時は前週末比で51円、率にして8%も安い570円まで急落する場面が見られたのです。これは約1カ月ぶりの低水準であり、投資家の間には動揺が走っています。週末を挟んだ決算発表の内容が、週明けの市場に冷や水を浴びせる形となりました。
大きな売りを誘った要因は、2019年07月05日の取引終了後に発表された2019年3〜5月期の連結決算にあります。この期間の連結純利益は、前年同期と比べて24%減の16億円にとどまりました。純利益とは、会社がすべての経費や税金を支払った後に最終的に残る「手取り」の利益のことですが、これが4分の1近くも目減りした事実は、市場にとって大きな衝撃を持って受け止められたに違いありません。
売上高そのものは、2019年03月に買収したカタログギフト大手「大和」の業績が加わったことで、前年同期比7%増の648億円と堅調に見えます。しかし、本業である国内アパレル事業のみを抽出すると、1%減の422億円と苦戦が目立つ結果となりました。SNS上でも「やはり百貨店ブランドの苦境は続いているのか」「買収での増収は表面的なもの」といった、厳しい視点でのコメントが目立っています。
増税前の不安が直撃?投資家が注視する今後の在庫戦略
今回の急落には、マクロ経済への不安も影を落としているようです。証券ジャパンの大谷正之氏によれば、消費増税を控えて買い控えが懸念される中での減益発表だったことが、個人投資家の「見切り売り」を加速させたと分析されています。見切り売りとは、これ以上の株価上昇が見込めないと判断して損を覚悟で売却することですが、心理的な不安が先行している様子が伺えます。
しかし、経営側は決して悲観していません。2020年02月期の通期見通しでは、売上高は2560億円、純利益は55億円と、前期を上回る増収増益を掲げています。オンワードの保元道宣社長は、在庫管理の徹底的な改善を通じて、第2四半期以降は営業利益が増加に転じるとの自信を覗かせました。営業増益とは、本業の商売で稼ぐ力が強まることを意味しており、ここが復活の鍵を握るでしょう。
編集者の視点から見れば、主力の「23区」などが好調を維持している点は大きな希望です。既存店売上高という、以前からある店舗の売れ行きを示す指標が伸びているのは、ブランドの地力が落ちていない証拠といえます。現在は一時的な調整局面にあるものの、過剰な在庫整理が進み、国内アパレル事業が再び軌道に乗れば、株価が力強く反発するシナリオも十分に考えられるのではないでしょうか。