西武・栗山巧の一撃、若獅子たちへの最高の手本――40歳ベテランが見せた勝負強さ

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試合終盤、絶好の場面を迎えた西武が最後のチャンスをものにしました。0対1とリードを許した八回二死三塁、ここで渡辺監督代行が切った勝負のカードは「代打・栗山巧」。西武一筋で活躍を続ける40歳のベテランは、この場面でも冷静そのものでした。「自分のスイングをするだけ」と語るその言葉通り、日本ハムの河野投手が投じた甘い146キロの球を見逃さず、一閃。打球は右翼スタンドへと消え去り、値千金の逆転2ランホームランとなりました。

この劇的な一撃で、ベンチの若手選手たちは総立ち。中でも八回まで1失点と力投していた先発の今井は、歓喜の声を上げて栗山の一打を称えました。勝負を決めた栗山は淡々とダイヤモンドを回り、チームメイトに笑顔を見せることなく、静かにその役割を果たしたのです。「若手選手たちに恥ずかしくないプレーを見せたい」と語る彼の言葉には、これまで培ってきた経験と責任感がにじんでいました。

この日の勝利でチームは息を吹き返したものの、すでにクライマックスシリーズ進出の可能性は前日の敗戦で消えていました。それでも栗山は「上位チームの勝負強さを肌で感じ、それを上回る気持ちを持ち続ける。絶対に負けないという気持ちを結果に結びつけたい。それが来季につながる」と、淡々と先を見据えています。この一打とその後の言葉が、殻を破れずにもがく若手主体の打線に与える影響は計り知れません。

20年連続本塁打を記録したベテランの存在感は、単なる結果以上の意味を持ちます。「消化試合」と呼ばれる残りの試合でも、栗山が示したような勝負への姿勢は、チームにとって未来を切り開く糧となるでしょう。経験豊富な選手がチームを鼓舞しながら若手を引っ張る姿勢こそが、常勝軍団を目指す西武の新しいスタートになるのかもしれません。

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