財務省が発表した最新の法人数値によると、4~6月期の全産業(金融・保険業を除く)の経常利益が前年同期比で13.2%増加し、過去最高となる35兆7680億円を記録しました。これで6四半期連続のプラス成長となり、景気が確実に回復している兆しが見えています。特に製造業と非製造業の両分野で堅調な伸びが見られ、輸送用機械やサービス業が収益を大きく押し上げたことが要因と言えます。
製造業の経常利益は13.0%増と好調で、主に輸出関連企業が恩恵を受けました。背景には歴史的な円安があり、海外市場での販売が加速したことが大きいです。中でも輸送用機械は19.9%増と顕著な伸びを見せ、情報通信機械も人工知能(AI)関連の需要拡大を受けて52.2%と大幅に増加しました。一方、非製造業も13.3%増益となり、サービス業は訪日外国人による消費増加を受けて50.5%の伸びを記録しました。加えて、スーパーやドラッグストアの新規出店も増益に寄与しています。建設業も18.5%増となり、幅広い業種での収益向上が確認されました。
企業の積極的な投資も見逃せないポイントです。この期間の設備投資額は前年同期比7.4%増の11兆9161億円で、特に非製造業が10.9%増と大きく伸びています。サービス業では娯楽施設の新設が進み、製造業でも情報通信機械や電気機械の生産能力を高めるための投資が行われ、1.4%の増加となりました。これらの動きは、将来的な成長を見据えた企業の意欲的な取り組みを裏付けています。
また、2023年度通期の統計によれば、全産業の経常利益は12.1%増の106兆7694億円となり、これも過去最高を更新しました。企業内部に蓄積される「内部留保」に該当する利益剰余金も8.3%増の600兆9857億円と過去最高を記録しており、日本企業の財務基盤がさらに強固になっていることを示しています。
一方で、財務省は今回の好調な数値を「景気が緩やかに回復している状況を反映したもの」としつつも、今後の海外景気の動向や物価上昇による影響には引き続き注意を払う考えを示しました。実際、多くの企業は将来的な経済の不確実性を考慮しつつも、成長に向けた投資を進めています。
一般の声としては、「企業の利益増加を賃金アップにもっと反映させてほしい」という意見や、「インバウンド需要が増えたことで地域経済にも恩恵が広がりつつある」という肯定的な反応も見られます。今後は、これらの増益が労働者や地域社会にも還元され、持続的な成長につながることが期待されるでしょう。企業の内部留保が適切に活用され、さらなる設備投資や雇用の拡大に結びつくかどうかが注目されます。