アルゼンチンサッカー伝説の語り部が語る──メッシ引退後と日本サッカーの未来

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昨季のJ1王者・神戸との親善試合のため、33年ぶりに来日したイングランド・プレミアリーグの名門トッテナム。そのツアーにレジェンドとして同行したのが、元アルゼンチン代表のオズワルド・アルディレス氏、愛称「オジー」でした。現役時代、知的なミッドフィールダーとして異彩を放った彼は、1978年のワールドカップ(W杯)で自国を初優勝に導き、その後トッテナムで数々のタイトルを獲得。サッカー界の一時代を築いた名選手です。

72歳となった今も洞察力とユーモアは健在で、話の中には日本サッカーや世界の名だたる強豪国に対する深い考察が散りばめられていました。アルゼンチン代表が2022年W杯カタール大会で優勝し、南米選手権も制するなど黄金期を迎えていることについて、オジーは「今のアルゼンチンには攻撃も守備も優れた選手が揃っていて、非常に良い時期を過ごしている」と語ります。しかし同時に、「唯一の懸念はメッシの引退のタイミングだ」とも。年齢的にケガが増える可能性があり、今後の代表チームへの影響を慎重に見守る必要があると指摘しました。

一方、ライバルのブラジルについては、「かつてのブラジルは即興性にあふれ、美しいフットボールを体現していた」と称賛しつつ、最近の指導スタイルがその魅力を薄れさせていると懸念を示しました。「ただ、ブラジルには優れたタレントが数多くいるため、ルーツに立ち返れば再び強くなるはず」とエールを送ります。

オジーが大切にしているのは、サッカーにおける「遊び心」や「いたずら心」。戦略とともに、選手が瞬時に判断し創造的なプレーをする感覚こそが、サッカーを魅力的にすると考えています。その点、トッテナムの攻撃的スタイルを気に入っていると語りました。

また、日本サッカーについても触れ、1996年に清水エスパルスの監督を務めていた当時から「日本サッカーは良くなると確信していた」と振り返ります。Jリーグ創設を契機に、日本はW杯出場の常連国となり、ここ2大会は連続でベスト16入り。オジーは「日本はサッカー界として素晴らしい仕事をしてきた」と絶賛します。

しかし、「アジア王者になるだけではもはや満足できないのでは?」と問いかけ、次なるステップは「勝者のメンタリティー」と「王者のカルチャー」を育むことだと示唆しました。アルゼンチンが初優勝を成し遂げた1978年W杯を転機に、クラブよりも代表活動を優先する文化を根付かせたことが成功の鍵だったと強調。日本も世界の頂を目指すならば、同様の意識改革が求められるというメッセージを残しました。

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