2019年6月3日、景気動向指数や消費関連の最新データが公開されました。このデータからは、2019年3月から4月にかけての日本経済、特に流通・消費分野の動きを読み解くことができます。全体としては、**景気の「踊り場」**を示唆するような、消費者マインドの冷え込みと、一部業態での好調が混在する複雑な状況が浮かび上がってきているようです。各種データの数値を見ていくと、その行方が気になるところでしょう。
まず、景気の現状を総合的に示す**景気動向指数(CI)の一致指数は、2019年3月改訂値で99.4(前月比▲1.1ポイント)となり、前月からマイナスを記録しました。また、街角の景況感を測る景気ウォッチャー調査(DI)**では、2019年4月は45.3(前月比0.5ポイント増)とわずかに持ち直したものの、景気の良し悪しを判断する基準である50を下回る水準にとどまっています。このDI(ディフュージョン・インデックス)は、景気が「良い」と答えた人の割合から「悪い」と答えた人の割合を引いた数値ですから、40台後半という結果は、体感景気の停滞感が払拭されていないことを示していると言えるでしょう。
特に消費者心理の冷え込みは顕著で、2019年4月の消費者態度指数(一般世帯、季節調整値)は40.4(前月比▲0.1ポイント)となり、これで7カ月連続の低下となりました。これは、消費者の今後の暮らし向きや収入の増え方といった見通しに対する不安が、徐々に高まっていることを示唆しており、小売業の皆さんにとっては非常に気がかりな傾向ではないでしょうか。SNS上でも、「最近、将来が不安で大きな買い物を控えている」「給料は増えないのに物価だけ上がる」といった、消費者マインドの低下を裏付けるような声が多く見受けられ、今後の消費動向に懸念が集まっています。
しかし、家計の消費支出を見てみると、2019年3月の全世帯の消費支出(実質)は、前年同月比で2.1%増加し、4カ月連続の増加となりました。これは少し意外な結果かもしれません。特に「住居」が9.4%増、「教育」が7.2%増と大きく伸びており、家計の中でも特に必要な支出や教育関連への支出は底堅く推移していることがわかります。一方で、「被服および履物」が▲1.6%減とマイナスに転じており、消費者は「必要なもの」と「贅沢品」を厳しく選別し始めていると言えるでしょう。この賢い消費行動は、価格競争力の高い小売店にとってはチャンスとなり得ますが、高価格帯の商品を扱う店舗にとっては厳しい状況が続きそうです。
業態別に見る流通市場の「明暗」
流通業界の業態別では、「明暗」が分かれる結果となりました。2019年4月の全国百貨店売上高(既存店ベース)は前年同月比▲1.1%となり、3カ月ぶりの減少となりました。特に「紳士服・洋品」は▲5.0%減と10カ月連続のマイナス、「婦人服・洋品」も▲4.1%減と2カ月連続の減少で、衣料品の不振が色濃く出ています。この状況に対し、SNSでは「百貨店の衣料品は高すぎる」「ネットで十分」といった、百貨店ビジネスモデルの根幹に関わるような厳しい意見も見受けられました。
一方で、コンビニエンスストアの売上高(既存店ベース)は、2019年4月に前年同月比1.3%増を記録し、6カ月連続の増加となりました。生活に密着した商品やサービス、特に「中食(なかしょく)」と呼ばれるお弁当や惣菜の需要が高まっていることが要因と考えられます。また、外食売上高(全店ベース)も2019年4月で1.7%増と32カ月連続の増加を継続しており、人手不足の中でも持ち前の柔軟性で顧客ニーズを捉え続けていることが伺えます。消費者が「日常のちょっとした便利」や「手軽な非日常の体験」にお金を出す傾向が強まっているのではないでしょうか。
さらに、新車販売台数は2019年4月で前年同月比3.4%増と好調で、「軽自動車」が4.9%増と伸びを牽引しました。これもまた、消費者が「大きな買い物」は慎重にしつつも、「生活に必要な耐久消費財」については、実用的な選択(軽自動車など)をしながら購入していることを示していると考えられます。これらのデータから判断して、今の流通業界は、ただ待っているだけでは厳しい時代であり、消費者心理の微妙な変化や、実用性・利便性へのニーズの高まりを捉え、商品構成やサービスの最適化を急ぐ必要があるでしょう。