中米のコスタリカ政府高官が、サイバー防衛に関して日米欧との協力をさらに深める方針を明らかにしました。同時に、高速通信規格「5G」の整備においても、安全性を確保するために中国企業などの参入制限を継続する考えを示しました。
コスタリカは2022年に政府機関を狙った大規模なサイバー攻撃を受け、緊急事態宣言を発動するという深刻な事態に直面しました。この経験から、サイバー防衛の強化は国家にとって急務となり、2023年には「サイバー犯罪条約」に未締約の国の企業を自国の通信網整備から排除する規制を導入しました。この規制の背景には、不正アクセスの増加に対処するため、国際的な連携を強化する狙いがあります。
ボガンテス科学技術・通信相は、5G通信網の整備に関して「セキュリティ要件を最高水準に引き上げた」と語り、通信インフラや公共機関をサイバー攻撃から守るために、日米欧などの先進国からの支援を求める姿勢を強調しました。コスタリカは、通信インフラの安全性を最優先に考え、複数の国と協力しながらサイバー防衛体制を築くことで、自国の安全保障を強化したい意向です。
さらに、日本とは2023年8月に情報通信技術(ICT)分野に関する覚書を交わし、協力関係を一層拡大しています。特に、複数メーカーの機器を組み合わせることで通信インフラを低コストかつ柔軟に構築できる「オープンRAN(Open Radio Access Network)」の分野で、日本からの技術支援を受ける予定です。この取り組みにより、コスタリカは先進技術を活用しながら、効率的かつ安全な通信網を構築することを目指しています。
今回のコスタリカ政府の動きについて、専門家からは「中南米の国々にとってサイバー防衛は喫緊の課題であり、先進国の技術力を活用することで脆弱性を克服する好機になる」との見方も出ています。一方で、中国企業の参入制限を続けることに対しては、通信インフラ整備のコスト増加や技術供給の制限といった課題も指摘されています。
今後、コスタリカがどのようにしてサイバー防衛体制を強化し、5Gインフラを安全に構築するかが注目されます。同国のこうした取り組みは、他の中南米諸国にとってもモデルケースとなる可能性があります。安全で効率的なインフラ整備を進めるために、国際社会との連携が今後さらに重要になるでしょう。