2019年5月28日早朝、サンマの水揚げで全国一を誇る北海道・根室市の花咲港に、今シーズン初めて公海で漁獲されたサンマが水揚げされました。例年、サンマの本格的な旬は8月下旬頃からですが、近年続く深刻な不漁を背景に漁獲量確保のため、2019年シーズンから一部の漁が通年で操業できるようになったことが、今回の早い時期での水揚げを実現させた背景にあります。
この日、5隻のサンマ船が入港し、合わせて約8トンものサンマが水揚げされました。その後の初競りでは、地元の卸会社の威勢の良い掛け声が響き渡る中、取引が成立しました。特筆すべきは、その価格の高さでしょう。初競りでつけられた価格は、1キロあたり36円から最高で2,052円という高値となり、特に最も高値がついたものでは、前年の平均卸値である188円と比較して、実に11倍以上という驚きの価格で取引されました。
SNS上でも「もうサンマの季節?」「今年は高そうだな…」といった反響が見られ、初物への注目度の高さを物語っています。今回水揚げされたサンマは、1匹あたり90グラムから100グラム程度と、本来の秋サンマ(通常130グラムほど)と比べるとまだ細めです。しかしながら、水産商社からは「公海で今シーズン初めて漁獲された魚であり、商品の状態を確認するために買い付けた」というコメントも聞かれ、初物としての価値と、漁獲動向を探るための戦略的な買い付けの両面から、高値につながったと考えられます。
この公海漁獲されたサンマは、小ぶりなものは缶詰用、比較的大きめのものは塩焼き用として、北海道の札幌や首都圏へとすぐさま出荷されました。しかし、まだ旬には遠い時期の漁獲であり、また公海から花咲港への帰港に3日を要したこともあり、鮮度を重視する豊洲市場(東京・江東区)では、一部の卸業者が今回の入荷を見送るという判断も見られました。サンマの鮮魚流通の難しさが垣間見える出来事でしょう。
急減する漁獲量!日本の食卓を支えるサンマに何が起きているのか
サンマは、長年にわたり日本の大衆魚として、年間20万トンから30万トンという安定した漁獲量を維持してきました。しかし、近年ではその漁獲量が10万トン前後にまで激減しており、深刻な不漁が続いています。この状況は、サンマを愛する私たち日本の食卓にとって大きな危機感を抱かせるものです。サンマの漁獲量が減っている背景には、地球規模の海洋環境の変化や、国外の漁獲圧力の高まりなど、様々な要因が複合的に絡み合っていると考えられています。
今回の公海での漁獲は、本格的な漁が始まる前の「試験的な漁」の意味合いも持ちますが、同時に供給量の確保に向けた努力の現れでもあります。日本のサンマ漁は、公海での操業が7月中旬頃まで行われ、その後、日本の**排他的経済水域(EEZ)**での漁が8月下旬から本格化するのが例年の流れです。**排他的経済水域(EEZ)**とは、沿岸国が海洋資源の探査・開発、保存・管理などの権利を持つ、海岸線から200海里(約370キロメートル)までの海域のことであり、資源管理の主権が認められた重要な海域です。
私自身の見解としては、初物とはいえこの時期にこれほどの高値がついたことは、消費者の初物に対する期待以上に、市場がサンマの稀少性を強く意識し始めていることの表れだと感じています。このまま不漁が続けば、サンマは庶民の魚から高級魚へとその地位を変えてしまうかもしれません。この貴重な資源を守るためにも、国際的な協力体制の構築と、漁獲量を適正に管理する取り組みがますます重要になってくるでしょう。今後の漁獲状況と市場の動向には、引き続き注目していく必要があります。