8月30日、昭和電線ホールディングス(SWCC)の株価が一時前日比9%高の5400円に達し、年初来高値を記録しました。終値も8%高の5370円で取引を終えています。この急騰の背景には、国内の建設用電線やエネルギーインフラ事業の好調があり、さらには同社が進める合理化による収益改善が市場に好感されたようです。
また、データセンターや半導体工場の増設を受け、電力会社各社が送電網強化に向けた設備投資を加速させると29日に発表したことも、投資家の買いを後押ししたとみられます。特に、東京電力ホールディングスなどが送電網の拡充計画を打ち出したことで、同社の中長期的な成長期待が高まったのでしょう。
SWCCの2024年4〜6月期の連結決算を見ると、売上高は前年同期比18%増の569億円、純利益は2.5倍の29億円と驚異的な成長を遂げました。国内の建設関連需要が堅調に推移したことに加え、同社が進めるデジタルトランスフォーメーション(DX)を活用したコスト削減の効果も大きかったようです。これを踏まえ、2025年3月期の通期見通しでは、売上高を前期比5%増の2250億円、純利益を2%増の90億円と予測しています。
さらに、SMBC日興証券は26日付のリポートで同社の目標株価を従来の6000円から6500円に引き上げました。同証券の前田拓也アナリストは「国内建設用電線の堅調な需要や電力インフラ関連事業の拡大を追い風に、2027年3月期を目標としていた営業利益170億円を、2期前倒しで今期に達成する可能性がある」と指摘しています。
市場関係者からは「電力網の強化が進む中で、昭和電線の事業はまさに時流に乗っている」「設備投資によるインフラ需要の拡大に加え、コスト削減効果も続けば、さらなる成長が期待できる」との声が聞かれています。特に、再生可能エネルギー普及に伴う電力インフラの重要性が高まる中、同社の技術力と事業展開は今後も注目されるでしょう。
今回の株価急騰は、昭和電線ホールディングスの持続可能な成長を反映したものと言えます。これからの動向次第では、さらなる業績の上振れが見込まれ、同社の成長ストーリーがますます強化される可能性があります。