2019年6月4日、ついに巨大IT企業(情報技術企業)への規制の波が、その本拠地である米国にも本格的に押し寄せ始めました。米国の議会および司法当局が、グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェイスブック(Facebook)、アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)という、いわゆる「GAFA」と呼ばれるネット大手4社に対する調査を開始すると発表したのです。これらの企業が反トラスト法に違反している可能性を視野に入れた、非常に大規模な調査となるでしょう。
この反トラスト法とは、日本でいうところの独占禁止法に相当し、市場における競争を不当に妨げる行為や、特定の企業が市場を独占する状態を防ぐための法律です。米議会の下院司法委員会が、与野党共同で「デジタル市場における競争」のあり方を徹底的に調べるとしています。競争を阻害する行為がないかどうか、そして現行の法律がデジタル時代特有の問題に対処できるのかどうか、広範囲にわたる検討が行われる見通しです。経営幹部の公聴会への招致や、企業情報の提供要求なども視野に入れているようで、GAFA各社にとっては重大な局面を迎えているといえるでしょう。
米メディアの報道によりますと、調査の検討に入ったのは議会だけではありません。反トラスト法を共同で所管する米司法省と米連邦取引委員会(FTC)も、調査開始に向けて動いています。報道によると、司法省がグーグルとアップルを、FTCがフェイスブックとアマゾン・ドット・コムをそれぞれ主導して調査を進めることで、両省庁が合意したということです。ただし、実際にいつ正式な調査が始まるのか、また具体的にどの事業が対象となるのかといった詳細な情報は、まだ明らかになっていません。
過去には、グーグルのネット検索サービスを巡り、FTCが反トラスト法抵触の可能性について検討した経緯があります。しかし、この時は消費者の不利益となる違反が確認されなかったとして、2013年に調査が終了しました。しかしながら、今回は米議会と司法当局が協調して広範囲な調査に乗り出すことになり、その厳しさや規模は以前とは比較にならないものとなるでしょう。また、フェイスブックに関しては、反トラスト法違反とは別に、FTCが個人情報の扱いを問題視しており、制裁金が最大で50億ドル(日本円で約5400億円)に膨らむ可能性があるという試算が同社から公表されている状況です。
私の見解ですが、このGAFAに対する世界的な視線の厳しさは、当然の流れであると考えます。彼らが提供するサービスは私たちの生活に不可欠なインフラとなりつつあり、その影響力は計り知れません。あまりにも巨大化し、市場を寡占する彼らの行動が、新たなイノベーションの芽を摘んだり、消費者の利益を損なうことにつながってはならないのです。すでに欧州連合(EU)は、今年3月、グーグルに対してインターネット広告事業でのEU競争法(独占禁止法)違反を認定し、巨額の制裁金支払いを命じています。そして、ここ日本でも、GAFAが寡占する膨大なデータに対する規制の枠組み作りが本格的に進められ始めている状況です。米国での今回の動きは、この世界的な「巨大IT企業規制」の流れを、決定的なものにするでしょう。
SNS上でも、「ついに来たか」「健全な競争のためには必要だ」「アメリカ国内での規制は世界に大きな影響を与える」といった意見が飛び交っており、このニュースへの注目度の高さが伺えます。これらの巨大企業の成長は目覚ましいものでしたが、今後は、いかに市場の公正さと健全な競争環境を保つかという、新たなステージに入ったと言えます。デジタル市場の未来は、米国での調査結果によって大きく左右されることになるでしょう。