🔥米中摩擦の衝撃波!世界の製造業が6年半ぶり低水準へ急ブレーキ:製造業PMIから読み解く世界経済の行方【2019年6月】

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2019年6月4日に発表された最新の経済指標は、世界の製造業に明確な減速のサインを突きつけました。その指標とは、景況感を示す代表的な指数のひとつであるPMI(ピーエムアイ、購買担当者景気指数)です。イギリスの調査会社であるIHSマークイットが6月3日に公表した5月のグローバル製造業PMIは、前月から0.6ポイント低下の49.8を記録しました。これは、景気の良し悪しを判断する基準である「50」を下回ったことを意味しており、なんと2012年10月の欧州債務危機以来、約6年半ぶりの低い水準となるため、非常に警戒すべき状況です。

この世界的な景況感の悪化を牽引している最大の要因は、言うまでもなくアメリカと中国の貿易摩擦の激化でしょう。両国間の対立は、物品の移動である「貿易」だけでなく、サプライチェーン、すなわち「供給網」にも深刻な懸念を広げ、多くの企業が生産計画や設備投資を控え始めている様子がうかがえます。企業の購買担当者へのアンケートをもとに作成されるPMIは、景気動向を敏感に反映する先行指標とされており、今回の「50割れ」は製造業の活動が縮小局面に入ったことを示唆しているのです。

詳細な項目を見ても、事態の深刻さが分かります。新規の受注を示す指数は前月比0.6ポイント減の49.5に落ち込み、生産もわずかに「50」を超えているものの同0.5ポイント低下の50.1と、勢いを失っています。さらに、雇用に関する指数は49.9となり、2016年8月以来となる2年9カ月ぶりに「50」を割り込みました。これは、企業が従業員の採用を絞り込んだり、人員削減を検討したりしている兆候であり、世界経済の足元が揺らいでいることを浮き彫りにしています。

地域別に見ると、この減速の波は世界中に広がっています。アメリカのPMIは50.5ですが、前月からの低下幅は2.1ポイントと約6年ぶりの大きさで、水準自体も約10年ぶりの低さです。IHSマークイットのチーフ・ビジネス・エコノミストであるクリス・ウィリアムソン氏は、この急激な景況感の鈍化は、**「貿易戦争への不安」**が原因だと断じています。2019年5月5日、トランプ大統領がTwitterで中国に対する制裁関税の引き上げを突如発表したことや、同月中旬にアメリカ商務省が中国の通信機器大手である華為技術(ファーウェイ)に対する事実上の輸出禁止措置を発動したことは、企業にとって先行きが見通せない不安定な経営環境を作り出しました。

世界経済の変調と製造業の「警告サイン」

欧州地域もこの低迷から逃れられてはいません。特にイギリスでは、EU(欧州連合)からの離脱、いわゆるブレグジットの行方が一段と不透明となり、PMIは49.4と3.7ポイントも大きく低下しています。また、ユーロ圏全体でも、ドイツにおける自動車の排ガス規制問題の影響などもあり、47.7と「50」を大きく下回る結果です。中国やアジアの新興国も景況感が徐々に悪化しており、「50割れ」が目前に迫っている状況と見受けられます。私が懸念するのは、このPMIの低下が単なる一過性の現象ではないかもしれないという点です。

製造業は、景気循環の「起点」となる傾向が非常に強いのです。個人消費などの他の経済活動に比べて変動幅が大きい上に、サービス業と異なり、貿易を通じて世界中の経済活動と密接に連携しているからです。例えば、2016年から2017年にかけては、製造業の景況感が改善したのに合わせて世界の貿易量も伸び、「世界同時好況」と称される局面が到来しました。しかし、2018年に入ると欧州や中国の景気が減速し始め、アメリカと中国が互いに制裁関税をかけ合う「貿易戦争」へと突入した結果、この好況は終焉を迎えたのです。

オランダ経済政策分析局のデータによると、2017年に5%近く増加した世界の貿易量は、2019年1月から3月期には前年同期比でわずか0.4%増へと急激に鈍化しました。さらに、4月から6月期には、ついに減少に転じる可能性も指摘されています。国際通貨基金(IMF)は、米中貿易戦争がさらに激しさを増せば、世界の経済成長率を0.3ポイント押し下げるという試算を発表しており、世界の景気減速シナリオが現実味を帯びてきていると言えるでしょう。

しかし、こうした逆風の中でも、アメリカ経済には一定の「耐性」があるとの見方もあります。アメリカ国内では雇用や賃金が増加していることに支えられ、内需は比較的堅調に推移しているからです。アリアンツ・グローバル・インベスターズのモナ・マハジャン氏は、「現時点では消費者心理の改善が続いており、米中摩擦の逆風に対抗する力はある」と分析しています。また、もし中国経済が予想以上に急激に落ち込んだ場合、中国政府が経済対策を上乗せするであろうという観測も根強く、これが世界経済の「下支え」になる可能性も残されているでしょう。

SNS上でも、「PMIが50割れとか、いよいよ景気後退か」「貿易摩擦の影響が数字にハッキリ出てきたな」といった不安の声が多く見受けられますが、一方で「アメリカの内需が強いのが救い」「中国の対策に期待」といった、今後の展開を見据えた冷静な意見も存在しています。世界の製造業が発する「警告サイン」に、私たちは今、真剣に向き合うべき時を迎えていると言えましょう。

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