分断の時代に問われる経済安全保障―日本の未来を守る選択

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米中対立が激化する中、世界は経済と安全保障が切り離せない時代に突入しました。強権的な国家が貿易制限や関税を通じて他国に圧力をかける一方、自由な経済秩序を守りながら成長を続けることが日本の豊かさに直結すると考えられます。この問題は、私たちの日常に密接に関わるデジタル技術や医療分野にまで広がっています。

たとえば、いまやスマートフォンユーザーの半数が利用しているとされる健康アプリ。体調や睡眠、運動記録を手軽に管理できる便利さの一方で、その裏側に潜むリスクが明らかになりつつあります。2023年の米デューク大学の調査では、アプリ提供企業が個人情報をブローカーに売買していた事例が発覚しました。中には精神疾患やローン返済履歴など、センシティブなデータが含まれており、私たちの信頼を揺るがしています。

特に懸念されるのが中国製アプリによる情報流出です。中国は国家情報法により、企業や個人に情報提供を義務付けています。その結果、医療データやゲノムデータが国の管理下に置かれ、軍事転用の危険性が指摘されています。これらのデータはAIの活用によって新薬開発に役立てられる一方、特定の人種に影響を与えるウイルスの開発といった恐ろしいシナリオも懸念されているのです。

中国はゲノムデータ収集に巨額の投資を行い、抗がん剤や抗生物質の製造においても圧倒的な競争力を持っています。日本や他の先進国がこのまま依存を深めると、医薬品や創薬分野でも支配される恐れがあり、私たちの健康や命の安全が脅かされかねません。経済安全保障の観点からも、これらのリスクに対処する必要性が高まっています。

さらに、日本にとって中国からの「3Gs」—ガリウム、ゲルマニウム、黒鉛(グラファイト)—の輸出規制は象徴的な問題です。これらの希少金属が不足すれば、半導体や電気自動車など日本の主要産業が大打撃を受けるでしょう。そのため、日本政府は経済安全保障推進法を成立させ、中国依存を減らすためのサプライチェーン強化や最先端半導体の国産化に向けた投資を進めています。

一方で、こうした安全保障主導の政策が、自由な市場競争をゆがめる懸念も指摘されています。主要7カ国(G7)の経済団体は2023年の東京サミットで、経済活動の制約を必要最小限にとどめるよう求め、自由で公正な貿易投資を促進する新たな枠組みを提案しました。経済的な威圧に対抗する耐性を持ちながらも、成長を可能にする経済構造の維持が重要視されています。

SNSでは、「自由と安全のバランスが求められる時代」「データ利用の透明性が必要」など多くの意見が飛び交っています。この分断の時代において、日本は経済安全保障と自由な経済成長を両立させるという難しい課題に直面しています。私たち一人ひとりもこの問題を自分ごととして捉え、未来に向けた選択を考えていくことが求められるでしょう。

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