2024年8月下旬、沖縄県与那国町の糸数健一町長は、中国軍機が8月26日に日本の領空を侵犯した件についての見解を示しました。同町は日本最西端に位置し、台湾までおよそ111キロメートルという地理的条件から、中国と向き合う「最前線」として知られています。糸数町長は、「中国が日本政府や自衛隊の対応、その後の国際的な反応を探るための動きではないか」と分析し、領空侵犯の背後にある意図を指摘しました。
糸数町長は今回、米国笹川平和財団の招請を受け、シンポジウムへの参加をはじめとする活動を行うために訪米しました。この訪問中、ウクライナや中東の紛争対応を背景に「世界が米国を見る目が変化している」という危機感を共有しました。そして、台湾問題については、従来の「曖昧戦略」を放棄し、中国に軍事行動を起こさせないよう明確な対応を取る必要性を米国関係者に訴えたいと語りました。
糸数町長の安全保障への姿勢は一貫しており、2024年5月には改憲派の集会で「この国を守るためには一戦を交える覚悟が必要」との意見を表明しています。「抑止力を備え、中国に『戦っては損だ』と考えさせる体制を整えるべき」と主張し、その発言は国内外で注目を集めました。
SNSでは、「最前線で生活する人々の危機感に耳を傾けるべき」「曖昧戦略が今後の安全を保障できるのか」といった意見が飛び交い、糸数町長の発言が台湾海峡や日本の防衛に関する議論を活性化させています。地理的にも政治的にも重要な位置にある与那国町から発信される声は、日本と世界にとって、地域の安全保障の現実を改めて考えさせるものとなるでしょう。