2024年1月1日、パレスチナ自治区ガザ中部で、ポリオワクチン接種のための戦闘休止期間が始まりました。この取り組みは国連機関とガザの保健当局が協力して進めるもので、64万人の子どもたちを対象に経口ポリオワクチンの集団接種が行われています。イスラエル軍は、世界保健機関(WHO)などの要請に応じて人道的見地からこの戦闘休止を受け入れました。
ガザでは25年ぶりにポリオ感染例が確認され、人道支援物資の搬入も難しい状況が続いています。イスラエルのネタニヤフ首相は、今回の措置を「停戦とは異なる」としつつも、子どもたちの命を守る重要性が強調されています。ワクチン接種は1月3日まで予定されており、延長される可能性もあるとのことです。接種会場は病院や学校など約160カ所に設置され、中部での接種完了後、南部や北部でも同様の取り組みが進められる計画です。
しかし、ワクチンを適切な温度で保ちながら接種会場まで運ぶのは容易ではありません。ガザとイスラエルの境界にあるケレム・シャローム検問所を経由し、すでに130万回分のワクチンが中部の保存倉庫に運び込まれていますが、さらに40万回分が届く予定です。接種は2滴ずつの経口ワクチンを2回に分けて行い、2回目は約4週間後に予定されています。
一方で、接種対象外の地域では戦闘が続いています。アラビア語衛星テレビ局アルジャジーラによると、ガザ南部では1月1日にもイスラエル軍の攻撃が行われ、接種活動への影響が懸念されています。この戦闘状況下での取り組みは、接種時間外や対象地域外の衝突が計画に支障を及ぼすリスクを抱えています。
SNSでは、「子どもたちの命を守る行動に感謝」「戦闘が続く中でのワクチン接種の難しさを感じる」といった声が広がっています。こうした国際的な協力による取り組みは、紛争下でも命を守るための努力が重要であることを改めて示しています。ポリオという脅威から子どもたちを守るこの活動が、今後さらに広がり、戦闘を超えた人道支援の象徴となることが期待されます。