韓国尹政権が直面する課題―与野党対立と社会改革の行方

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2024年9月、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が与野党との緊張を高める中で、国会運営の壁が社会改革の進展を妨げる可能性が指摘されています。韓国では少子高齢化が世界最速で進行しており、教育や年金、労働分野の抜本的な改革が急務となっていますが、尹政権は支持率の低迷や国会過半数を占める野党の反発に直面しています。

9月1日には11年ぶりとなる与野党党首会談が開かれ、「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は意見の隔たりを埋める対話を呼びかけました。一方、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表も「譲り合いが必要だ」と応じ、定期的な党首会談や政策協議体の新設を提案しました。しかし、両者の接近は尹政権との差別化を狙った政治的思惑も感じさせます。

尹政権の支持率は2024年4月の総選挙後から20%台に低迷しており、任期後半に差し掛かった現在、政権運営の求心力が低下しています。特に、2月に発表された医療改革で医学部の定員を大幅に増やす方針を示したものの、研修医の離脱による医療現場の混乱が続き、与党内部からも見直しを求める声が上がっています。韓代表は改革を1年猶予する案を示しましたが、尹大統領は8月末の記者会見で「改革を止めることはない」と明言し、対立が続いています。

一方で、野党は尹政権の対日政策に対する批判を強めています。竹島(韓国名・独島)の模型が戦争記念館から撤去されたことや、日本の植民地支配を正当化したとされる学者の起用を問題視し、「親日政権」との印象を世論に植え付けようとしています。8月末には日本による侵略を美化した人物の公職就任を禁じる法案も発議され、反日感情を煽る動きが続いています。

SNS上では、「少子高齢化の改革が進まないのは政治のせい」「反日・親日論争ではなく、国益を考えた議論を」といった意見が目立ちます。尹政権が抱える課題は多岐にわたり、与野党間の対話や協力なしには解決が難しい状況です。韓国政界が政治対立を超え、社会改革に向けた実効性ある議論を進められるかが問われています。

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