🔥【2019年6月最新】薄鋼板の国内在庫が10年ぶり高水準!中国・韓国からの輸入増加と需要停滞で市況軟化の懸念

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

2019年6月4日の時点で、自動車や機械、家電製品など、非常に幅広い産業分野で必須の素材である**「薄鋼板(うすいた)」の国内在庫が、大幅に増加している状況が明らかになりました。特に、2019年4月末時点の在庫量は453万4千トンに達し、これは約10年2カ月ぶりに450万トンという水準を超えたことを意味しています。薄鋼板は、熱延(ねつえん)、冷延(れんえん)、そして表面処理鋼板という主要な3品種から構成されており、メーカーと流通業者を合わせた在庫の速報値で、前月である3月末と比べても6万8千トン、すなわち1.5%の増加となりました。この450万トン超えという数字は、世界的な金融危機であるリーマン・ショック後の需要落ち込みが続いていた2009年2月末以来の水準であり、鉄鋼市場における需給バランスの崩れ、すなわち供給過多が懸念される重大な局面に突入していると言えるでしょう。

この異例の在庫積み上がりには、いくつかの要因が複合的に絡み合っています。最も顕著なのが、中国や韓国からの輸入鋼材が引き続き高い水準で日本国内に入ってきている点です。2019年4月の輸入薄鋼板の到着量は30万3,800トンと、これで4カ月連続で30万トン規模の高水準が続いています。これは、中国経済の景気減速の影響で、一部の鋼材が海外、特に日本に向けて流れ出ていることが背景にあると分析されています。加えて、米中貿易摩擦の激化により、2018年後半に中国国内の鋼板価格が下落した際、日本の鉄鋼問屋や商社が、その割安な価格を捉えて昨年末から今年初めにかけて契約した分が、春先以降、続々と日本に到着している状況です。

また、韓国製の鋼材も、自国経済の停滞や米国による輸入制限、そして中国からの鋼材流入による国内の需給緩和を受け、日本市場へ供給先を振り向けているようです。日本の問屋が中国や韓国の鋼材を購入するに至った背景には、2018年秋頃から日本の高炉メーカー、いわゆる製鉄所で、生産上のトラブルが相次ぎ、鋼板の出荷が滞ったという国内特有の事情も関係しています。高炉メーカーが、限られた生産力を自動車産業などの主要な大口顧客に優先的に割り当てた結果、仕入れ不足を懸念した問屋が、急いで輸入材で不足分を確保しようとしたわけです。

供給回復と需要停滞が在庫を押し上げる

輸入材の到着が集中するタイミングで、国内の高炉メーカーの生産が回復し、出荷の余力が再び高まったことも在庫増に拍車をかけました。メーカー各社は、生産の遅れを取り戻すために2018年度末に向けて生産を増やし、問屋や商社への出荷を促進しました。さらに、2019年の大型連休期間中、メーカー側からの出荷が一時的にストップしたことで、問屋や流通業者の手持ち在庫が増加したことも、在庫量の高水準を構成する一因となりました。供給側が増える一方で、鋼材の需要の一部停滞も在庫増に影響を与えています。特に、中国景気の減速感から、中国向け輸出が多い産業機械などの製造業では鋼材の引き合いが鈍っている状況です。

もちろん、「高水準の生産を維持している自動車産業などが全体を牽引しており、全体の需要は依然として底堅い」(日本製鉄薄板企画部)という見方もありますが、建築分野では人手不足やその他の要因に伴い、資材の荷動きが停滞し、鋼板の消費が遅れ気味になっている実態も見逃せません。鉄鋼業界が、需給均衡の目安と捉える400万トンを大きく上回る在庫水準となっているため、市場では「想定していた以上に在庫が減らず、市況は弱含みで推移している。メーカーと流通全体で在庫の削減に取り組まなければ、販売価格を維持するのは極めて難しい」(千葉県浦安市に拠点を置く鋼板問屋の経営者)といった切実な声が上がっています。

市況軟化を回避できるか?今後の展望と筆者の見解

この在庫増加が示すのは、国内の鉄鋼市況が下押し圧力を受けているという厳しい現実です。市況とは、一般的に市場価格**のことを指しますが、供給過多になると価格が下がりやすくなるという経済の原則が働いています。堅調な内需に支えられ、約2年半前から上昇傾向にあった国内鋼板市況ですが、ここ1年ほどは上昇の勢いが弱まり、上値の重さが目立っています。今後、中国景気の減速感がさらに強まり、中国材の輸出増加と国内での需要減少が重なれば、市況が軟化する、つまり鋼板の販売価格が下落する可能性は非常に高いでしょう。国内の高炉メーカーは、既に受注量の一部調整などの対策を講じ始めています。

日本製鉄薄板企画部では、「昨年末から年明けにかけて目立った流通各社による輸入材の契約は、既にピークを過ぎた模様だ」と指摘しています。また、メーカー側による受注の精査が進むこともあり、今後、国内在庫は減少に向かうとの見通しを示しています。私見ですが、この状況は、日本のサプライチェーンにおける「過剰在庫の弊害」と「グローバルな価格競争の波」を明確に示していると言えます。国内メーカーが生産を回復させつつ、輸入材が集中する中で、いかにして需要の停滞に対応し、価格競争力を維持できるかが、今後の鉄鋼業界の大きな課題となるでしょう。SNS上でも「輸入材が安いのは魅力的だけど、国内の需給バランスが崩れて価格が下がるのは困る」「結局、国内メーカーも輸入材に頼る時代になったのか」といった意見が飛び交っており、この薄鋼板の在庫問題は、業界外からも熱い注目を集めているようですね。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*