2024年8月30日、太平洋諸島フォーラム(PIF)はトンガで行われた首脳会合の共同声明を採択しましたが、その後、台湾を「開発パートナー」として明記した文言を削除した新たな共同声明が8月31日に公表されました。この変更には中国の圧力が影響したと見られています。
PIFは1992年に台湾を「開発パートナー」として認定し、オブザーバーとして会合への参加を許可してきました。しかし、今回の共同声明では、当初含まれていた台湾に関する記述が取り下げられました。中国の銭波特使は8月30日、PIF事務局のワンガ事務局長に対して「台湾は中国の一部であり、PIFの対話パートナーではない」と激しく抗議しました。中国は日本などと同様に「対話パートナー」としてPIFに参加しており、台湾に対する記述を受け入れない姿勢を明確にしました。
台湾外交部の田中光政務次長は、この動きについて「地域を不安定化させ、島しょ国を分断しようとする第三者の働きがある」と批判し、PIFの意思決定過程に対する透明性を求めました。また、田中氏は「文言が削除されたからといって台湾がPIFから排除されたわけではない」と述べ、PIF事務局も「条項変更は首脳の決定事項に影響を及ぼすものではない」との見解を示しました。
SNSでは、「中国の影響力が地域外交に及ぼしている」「台湾を排除する動きは太平洋の安定に逆効果ではないか」といった議論が巻き起こっています。この問題は、太平洋地域における大国間の緊張が一層高まる中で、各国がどのように対応するかを問う試金石となるでしょう。台湾をめぐるPIFの対応は、太平洋地域の連帯と自主性の在り方を考えるうえで重要な課題を投げかけています。