日本が洋上風力発電市場で長期的な成長を遂げる可能性に注目が集まっています。世界最大手の一角であるSSEリニューアブルズ(英国・スコットランド)も、日本を「長期的に魅力的な市場」と評価しています。世界有数の電力消費国である日本は、英国の3倍の市場規模を持ちながら、再生可能エネルギーの電力供給比率は20%超と英国の約半分にとどまっています。この点から、日本には再エネ拡大の大きな潜在力があるといえるでしょう。
日本政府はこれまでに3回の大規模洋上風力の公募入札を実施しましたが、現時点では実際に稼働しているプロジェクトはありません。この遅延は、オランダをモデルにした入札制度が要因の一つです。オランダでは熟度の高い案件を入札にかける一方、日本では落札後に事業者が調査や認証取得を行うため、着工までに数年かかっています。例えば、2023年の第2回入札案件が完了するのは2030年と予測されており、サプライチェーンの整備や事業者の経験が不足している現状が課題となっています。
技術的にも、日本は着床式洋上風力では欧州の事例を参考に進めることができますが、浮体式では先進国の先陣を切る可能性があります。浮体式の洋上風力は欧州でも稼働実績が少なく、製造インフラや技術の多くが手探り状態です。この分野で日本が主導権を握れば、欧州にノウハウを還元する絶好のチャンスといえます。しかし、韓国が既に大規模案件を形成しており、世界のリーダーになる可能性も指摘されています。日本が浮体式で競争力を高めるには、官民の連携が不可欠です。
浮体式洋上風力には漁業者との調整という課題もあります。英国では漁業者と事業者が合意形成に向けたガイドラインを共有し進めていますが、日本は漁業の種類が多岐にわたり、漁業従事者の数も多いという特有の事情があります。この点について、英国のモデルをそのまま日本に当てはめることは難しいものの、漁業者との円滑な連携を進める仕組み作りが求められています。
2024年度中に策定される次期エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーの比率拡大が重要なテーマとなっています。太陽光発電や陸上風力には立地上の制約があるため、洋上風力、それも浮体式技術の進展が鍵を握ります。日本企業の発電機部品や関連技術は国際的に評価されていますが、この強みを活かせなければ競争力を失う恐れがあります。海外のエネルギー企業が商機を逃すまいと日本市場で活動を活発化させる中、日本は今こそ官民一体で攻めの姿勢に転じるべきです。
SNSでは「日本の再エネ潜在力に期待」「浮体式洋上風力がもたらす未来」などの声が広がっており、国民の注目度も高まっています。日本が再生可能エネルギー分野でリーダーシップを発揮するためには、制度設計や技術開発を進めることが急務です。この分野の進展が、日本のエネルギー自給率の向上と地球規模の脱炭素社会への貢献に繋がるでしょう。