毎日の何気ない風景の一つ、「ゴミ捨て」。しかし、そんな日常が失われるかもしれない未来が迫っています。環境省のデータによれば、日本のゴミ埋め立て処分場の残余容量は、2022年度末時点で約9,666万立方メートルとされ、過去10年で14%も減少しました。このペースでいくと、2046年度には満杯になる可能性が高いのです。特に東京湾に面した23区の処分場は、拡張の余地がなく、ゴミ問題が深刻化するのは避けられません。
8月某日、東京都千代田区神田地区では、午前8時半に清掃車が動き出しました。35度を超える猛暑の中、区職員がゴミを収集して回る姿は、過酷な現場の実態を物語っています。汚れた段ボールや生ゴミが詰まった袋の扱いは重労働で、分別の不徹底も目に付きます。2022年度の東京23区のリサイクル率はわずか17%で、全国平均の19.6%を下回っています。この状況が改善されなければ、ゴミの行き場がなくなる未来が現実のものとなるでしょう。
ゴミ問題が放置されれば、悪臭漂う「ゴミ屋敷」や害虫・害獣の増加といった二次被害が発生し、街の景観や住環境が損なわれるリスクがあります。また、他地域へのゴミの運搬が必要になれば、輸送コストの増加が避けられず、ゴミ袋の有料化や値上げといった負担が市民に降りかかる可能性も高まります。
一方で、希望の光も見え始めています。鹿児島県大崎町では、分別を28品目まで徹底し、リサイクル率を84%にまで引き上げました。根気強い住民説明会や自治体の努力によって、ゴミ埋め立て量を80%削減し、処分場の寿命を60年以上延ばすことに成功しています。また、新技術の活用も進んでおり、AIを駆使したリサイクル効率の向上や、廃棄物を建材や雑貨に再利用する取り組みが広がりつつあります。
さらに、収集現場では効率化のための実証実験やルート最適化システムの導入も進んでいます。例えば、北海道室蘭市では2025年度からゴミ集積所を減らす試みが始まります。これにより、収集作業の負担を軽減しつつ、効率的なゴミ管理を実現する計画です。
私たちが未来に向けて取り組むべきことは明白です。一人ひとりがゴミの分別や減量に取り組むだけでなく、新しい技術や地域の協力体制を活用しながら、持続可能な社会を目指す時が来ています。ゴミ問題は他人事ではなく、日々の生活と深く結びついた課題です。「燃えるゴミの日」の小さな行動が、未来を変える力になるのです。