東京都千代田区は、住民1人あたりのゴミ排出量が23区内で最も多い地域です。その理由は明確で、住民数約6万9千人に対し、学生や会社員を含む昼間人口が約90万人に上るためです。この地域特性により、ゴミの約8割が企業から出される事業系ゴミで占められています。ゴミの総量は減少傾向にあるものの、さらなる取り組みが求められています。
例えば、シュレッダーで細断された紙の一部は、いまだに燃やされる可燃ゴミとして処理されています。しかし、これを資源化できれば、可燃ゴミの処理委託費が削減されるだけでなく、企業のESG経営の一環としてのアピール材料にもなります。そのため、オフィスビルを管理する大手不動産企業と連携し、テナント企業への分別意識を浸透させる取り組みが急務です。
一方、家庭においては生ゴミが課題となっています。現在、堆肥化できるコンポスト購入への補助制度はあるものの、子どもを対象とした食品ロス削減の教育を行い、家庭全体の関心を高める努力が必要です。家庭から始まる意識改革が、地域全体のゴミ削減に大きく寄与するでしょう。
ゴミ収集業務においては、製品廃棄時の分別を念頭に置いた設計が重要です。例えば、金属スプリングとマットが一体化したマットレスや、リチウムイオン電池が取り出しにくい小型扇風機など、現場での分別が難航する製品は多いです。これらの課題は、製品の生産段階で解決すれば、社会全体の清掃コストを大幅に抑えられるはずです。製造メーカーに対して、国が強制力を持った施策を講じるべきでしょう。
東京湾の埋め立て処分場は、現行の施設が最後とされています。当面の利用は可能ですが、そのため住民の危機意識が薄れがちです。しかし、人手不足や資材価格の高騰、焼却施設の老朽化といった課題は山積しています。こうした状況の中、企業が集積する千代田区で循環型経済を確立することは、全国的なインパクトを生む可能性を秘めています。
SNSでも「ゴミ問題は千代田区だけの話ではない」「製品デザインの改善が急務」といった声が多く寄せられ、地域の取り組みが広く注目を集めています。企業と家庭が連携し、持続可能な未来を目指すモデルケースとなることで、日本全体のゴミ問題解決に寄与する動きが加速するでしょう。