【小林いずみ氏が語る】異質な才能を開花させる!グローバル社会で勝つための「ダイバーシティ」教育改革論

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2019年4月まで経済同友会の副代表幹事を務められた小林いずみ氏は、グローバルな舞台での輝かしいキャリアを持つビジネスリーダーです。彼女の活躍の原点には、母校である恵泉女学園高校(東京都世田谷区)での自由な学びがあったといいます。高校生活の3年間で自然と身につけられたという「多様な個性を尊重する姿勢」こそが、外資系企業や国際機関でトップとして役割を果たす上で、大いに役立ったと語られました。

大学卒業後、一度は日本の大企業である三菱化成工業(現三菱ケミカル)に入社されましたが、「自分の世界を広げたい」という強い願いから、外資系のメリルリンチへ転職される決断をなさいました。ニューヨークでの1年間の赴任経験を通じて、海外の方々は自分の意見を積極的に発信し、意見がぶつかり合うことを恐れないという文化を肌で感じられたそうです。そうした議論の中から新しい価値が生み出される環境は、当時の日本の会社とは大きく異なっていました。

しかし小林氏にとっては、その環境こそが非常に自然で心地よいものでした。それは、恵泉女学園で同級生たちと活発に議論を交わしていた経験と同じ感覚だったからでしょう。SNSでは、「恵泉女学園の教育方針が素晴らしい」「リーダー育成の鍵は、異論を恐れない環境なのだ」といった、教育のあり方について再認識する声や、ご自身の高校時代を振り返るコメントが多く寄せられていました。

メリルリンチを経て、2008年、小林氏は世界銀行グループの多国間投資保証機関(MIGA)の長官に就任されました。MIGAとは、途上国への投資を保証することで、投資家と途上国の双方のリスクを低減し、経済成長を促す国際機関(国境を越えた課題に対して協力し合うために、複数の国家が設立した組織)です。ここではさらに多様な人材が集まり、事業対象もアフリカやアジアなどの途上国が中心となるため、「ダイバーシティ」(多様性)の概念が大きく変化したといいます。

小林氏によれば、日本ではダイバーシティというと、往々にして女性や外国籍の人々を受け入れることを指す場合が多いものです。しかし、それだけでは不十分です。国籍に関係なく、一人ひとりの個性や異なる能力を、どれだけ最大限に生かせるか、それこそが真に多様性を生かすということだと、私は考えます。この柔軟な考え方こそ、日本企業が国際的な競争力を高めるために、今まさに必要とされている視点ではないでしょうか。

日本企業に必要な「異質な視点」の取り入れ方

現在、ANAホールディングス、みずほフィナンシャルグループ、三井物産という、日本を代表する企業の社外取締役も務めていらっしゃいます。取締役会での役割として、社内の人たちとは異なるアングルから物事を見ることを常に心がけているそうです。その意見が本当に正しいかどうかはさておき、まずは「ボールを投げかけること」こそが、社外取締役としての重要な役割だと認識されているのでございましょう。

日本企業の競争力は相対的に低下していると言われますが、人材や技術といった基礎力(企業が持つ土台となる力やポテンシャル)は、十分なレベルを備えています。問題の核心は、従来の価値観から見て「異質な人」や「とんがった人」の能力を生かし切れていない点にあるのではないでしょうか。私は、異なる視点を持つ人材が活躍できる環境こそが、停滞を打破する鍵だと強く確信しています。

その原因の一つとして、日本の教育が挙げられます。画一的な理想の人格像があり、そこからはみ出すことを許さないという環境で育ってきた人々に、従来の枠にとらわれない発想を持てというのは、土台無理な話かもしれません。幸いにも、小林氏は恵泉女学園で「右向け右」といった教育を受けずに済みました。多感な時期を自由な環境で過ごすことができたのは、非常に幸運なことだったと振り返っていらっしゃいます。

テクノロジー時代における教師の新しい役割

小林氏は、2019年2月から中央教育審議会の委員も務められています。現在考えていらっしゃるのは、教育のあり方を根本的に変革する時期に来ているのではないかという課題意識です。例えば、教師の役割について、これからの時代に求められるものが何であるかを問いかけています。

教育にテクノロジーを活用するエドテック(Education Technologyの略で、教育にIT技術を取り入れること)が発達し、単に知識を教えるだけであれば機械でも代行できるようになってきています。では、これからの教師に求められる能力やスキルとは一体何でしょうか。生徒にとって本当に必要な教師像とは、どういう人物なのでしょうか。

小林氏の中には、恵泉女学園で出会った先生という素晴らしいモデルが存在しています。さらに、社会人となってから多様な意見を持つ人々と共に働く中で得た知見も生かしながら、今後の日本社会にふさわしい理想の教育を追求していきたいと、熱意を持って語っていらっしゃるのでございます。(記事は村上憲一氏による)

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