2019年5月28日に発生した川崎市多摩区での痛ましい事件を受けて、「ひきこもり」に対する世間の目が厳しくなり、一部では危険視する風潮が広がりかねない状況が生まれています。しかし、この記事でお伝えしたいのは、ひきこもりは特定の誰かだけの問題ではなく、社会全体で向き合うべき課題だということです。特に、長期化しつつある中高年のひきこもりは、ご本人だけでなく、支えるご家族も大きな悩みを抱えており、孤立が深まる前に適切な支援へつながることが何よりも大切だと考えられます。
こうした状況に対し、NPOや各地の家族会は精力的に活動を展開しています。具体的には、同じ境遇にある親御さんやご本人が集まり、日頃の思いや悩みを共有する場を設けたり、専門家を招いてひきこもりに関する理解を深めるための勉強会を開催したりしているようです。また、ひきこもりを経験した当事者自身が、ご家族や現在ひきこもり状態にある方々へ助言を行うといった、貴重な取り組みも行われていると聞きます。このような場は、孤立しがちな当事者やご家族にとって、精神的な支えとなるだけでなく、問題解決に向けた具体的な一歩を踏み出すきっかけになるでしょう。
実際に、事件報道の直後から、SNS上では「ひきこもり=犯罪者予備軍と見なさないでほしい」「多くのひきこもり当事者が、むしろ外に出ることを恐れて苦しんでいる」といった、偏見を危惧し、現状の理解を求める声が多数寄せられています。この反響からも、一般社会と当事者・家族との間に横たわる、深い溝が感じ取れますね。ひきこもりとは、様々な要因が絡み合い、社会的な参加の機会を主に自宅などで長期にわたって避けている状態を指す専門用語です。これは精神疾患とは異なり、社会構造や個人の置かれた環境が深く関係していることが多く、安易に危険視することは、問題の本質を見誤ってしまうでしょう。
ひきこもりを安易に犯罪と結びつけるような風潮は、ご本人やご家族にとって非常に大きな脅威となりかねません。NPO法人「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」(本部:東京)は、川崎での事件発生後、ひきこもり状態にある方が「無関係な他者に危害を加えるような事態に至るケースは極めてまれだ」とする声明を発表し、冷静な対応を呼びかけています。この声明は、社会が持つ誤解を解き、当事者や家族の尊厳を守る上で、非常に重要なメッセージだと私は考えます。
同連合会の上田理香事務局長は、ひきこもりは恥ずかしいことではないと強調し、「誰もご家族を責めたりしない」と力強く語っています。そして、孤立せずに「地域の家族会や自治体に連絡して、つながりを持ってほしい」と切に訴えかけています。私たち編集者としても、この呼びかけに心から賛同するものです。ひきこもりは、個人の責任ではなく、社会的な支援が必要な状態です。必要な支援へつながるための窓口は必ず存在しますから、一歩踏み出して相談してみることをお勧めします。社会全体で、偏見なく温かく包み込めるような環境づくりを進めるべきでしょう。