2019年07月10日、総務省から最新の住民基本台帳人口が発表され、これを受けた日本経済新聞社の試算によって日本の選挙制度が抱える「1票の格差」の現状が浮き彫りとなりました。私たちの投じる大切な1票の重みが、住んでいる地域によって異なるというこの問題は、民主主義の根幹に関わる重要なテーマといえるでしょう。
今回の集計結果によると、衆議院小選挙区における最大格差は、前年の2018年と比較してわずかに拡大し、1.990倍という数字を記録しました。一方で、参議院選挙区の格差は2.956倍へと縮小傾向を見せており、両院で異なる動きが生じています。SNS上では「自分の1票が他人の半分程度の価値しかないのは納得がいかない」といった、公平性を問う厳しい意見が相次いでいます。
そもそも「1票の格差」とは、議員1人あたりの有権者数が選挙区ごとに異なり、投票の価値に不平等が生じる状態を指します。例えば、有権者が少ないA区と、その2倍の有権者がいるB区では、A区の1票が持つ影響力はB区の2倍にもなってしまいます。最高裁判所からも、この格差が大きすぎる状態は「違憲(憲法に違反している状態)」であるとの厳しい判断が過去に何度も下されてきました。
神奈川・兵庫で格差が最大に!鳥取との比較で見る不均衡の実態
具体的な数字を見ていくと、2019年01月01日時点のデータで最も人口が少ないのは鳥取1区の27万9143人でした。これに対し、最多となったのは神奈川15区の55万5625人で、鳥取1区と比較すると約2倍の開きがあります。兵庫6区も55万5550人と神奈川に迫る多さとなっており、都市部に人口が集中する現状が選挙の不平等へ直結していることが伺えます。
東京16区や東京13区もこれに続く高い倍率となっており、首都圏にお住まいの方々にとっては、自身の1票が相対的に「軽く」なっているという驚きの現実があるのかもしれません。ネット上では「人口の移動に合わせて、よりスピーディーに区割りを再編すべきだ」という声も上がっており、制度のアップデートを求める世論が日に日に高まっている様子が感じ取れます。
編集者の視点から申し上げますと、この「1票の格差」問題は、単なる数字の遊びではなく、政治が誰の声を優先して聞くのかという優先順位に直結しています。格差が放置されれば、人口の少ない地域の意見が過剰に反映される一方で、多くの人々が暮らす都市部の切実な声が届きにくくなるリスクを孕んでいるのです。公平な社会を築くためには、抜本的な定数是正の議論を避けて通ることはできません。
現行の制度下で、衆議院の格差が2倍以内に収まっていることは一定の評価ができるかもしれませんが、微増に転じている点は注視すべきでしょう。私たちは、自分の1票が正当に評価されているのかを常に監視し、選挙制度そのものへの関心を持ち続ける必要があります。民主主義を守るための第一歩は、こうした小さな不平等の積み重ねに気づくことから始まるのではないでしょうか。