「防災の日」に考える、備えの重要性と訓練中止が投げかける課題

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1923年9月1日に発生した関東大震災を忘れないために制定された「防災の日」。2025年のこの日は、今年発生した能登半島地震や、8月に初めて発表された南海トラフ地震臨時情報などを受け、防災意識の重要性が改めて浮き彫りになりました。しかし、台風10号の影響で、例年行われる防災訓練の多くが中止となり、新たな課題も浮かび上がっています。

政府や自治体が主導する防災訓練は、災害時における迅速な対応力を高める重要な機会です。今年は岸田文雄首相をはじめとする閣僚が参加予定だった、首都直下地震を想定した訓練も中止となりました。本来、この訓練では北海道で最大震度7を記録する地震を想定し、官邸での参集後に実地訓練が行われる予定でしたが、悪天候により実現しませんでした。

東京都でも、首都直下地震を想定した9都県市の合同訓練が予定されていましたが、こちらも中止に。同様に、鹿児島県指宿市で計画されていた南海トラフ地震を想定した訓練も、台風による停電の復旧作業が優先されたため実施できませんでした。

また、東京都慰霊協会が毎年実施する関東大震災の犠牲者を追悼する大法要も、自治体代表者の参列を取りやめ、関係者のみで行われました。追悼の場が縮小されたことは、自然災害の歴史的教訓を共有する機会が減少する懸念も伴います。

SNSでは「災害が起きやすい時期に防災訓練が中止されるのは皮肉だ」「中止ではなく代替案が必要では」といった意見が多く見られました。一方で、復旧作業に従事する電力会社や自治体職員の負担を理解し、現場の重要性を支持する声も上がっています。

改めて思い知らされるのは、災害はいつ、どこで発生するか予測がつかないということです。訓練が中止になったからこそ、家庭や職場での自主的な備えがより求められる状況となっています。今年の「防災の日」をきっかけに、日頃の準備や地域の防災意識を見直すことが、私たちの命を守る大きな一歩となるでしょう。

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