「デパ地下革命」三越日本橋に新ブランド続々!若年層を魅了する戦略とは

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2024年9月、三越伊勢丹は三越日本橋本店(東京都中央区)の食品売り場に、新たなブランドを次々と投入しました。これまでシニア層を主要顧客としてきた同店ですが、日本橋地区の再開発により若い世代やファミリー層が増加していることを受け、戦略的に「デパ地下」の独自色を強化しています。関東初出店のブランドも含まれる新たな試みが、多くの注目を集めています。

9月には老舗高級すし店「寿司政」とベーカリー「リチュエル」が、10月にはフランス菓子「カフェタナカ」が新規出店します。「カフェタナカ」は1963年に名古屋で創業し、クッキー缶「レガル・ド・チヒロ」(5,211円)が早朝から行列を作るほどの人気店です。今回の出店は関東で初の常設店舗となり、1年以上にわたるバイヤーの交渉が実を結びました。同ブランドは三越日本橋限定商品も展開し、正面玄関のライオン像をモチーフにしたクッキー缶や新作焼き菓子を提供します。

「寿司政」は1861年に日本橋で開業した江戸前寿司の名店で、現在は九段下に本店を構えています。三越日本橋では本店の味をそのままに提供し、限定商品「桶盛りばらちらし(5人前)」(21,600円)をラインアップに加えました。一方で、「リチュエル」は硬めのバゲットなど、若年層の嗜好に応える商品を揃え、ベーカリー部門の新たな需要を狙っています。

また、独自商品として9月25日から10月8日まで展開される「カスタマイズ弁当」も話題です。約60ブランドの総菜や主食から80種類を自由に組み合わせ、自分好みの弁当を作れるこの企画は、昨年の売上計画を1.5倍上回る成功を収めました。2024年はさらに16%の売上増を目指しており、今年は1カップ3,000~4,000円の高価格帯商品も登場します。「いろんなブランドの味を少しずつ楽しみたい」という顧客の声を反映したこの取り組みは、20~40代の若い世代をターゲットにしています。

若年層を取り込む背景には、日常使いのランチ需要や個性的な手土産を求めるニーズの高まりがあります。営業統括部の上野奈央マネージャーは、「再開発が進む日本橋で若い世代が増える中、これまでの品揃えでは感性が合わない面があった」と指摘し、新たな顧客層へのアプローチを強調しています。

全国的にも百貨店の食品売り場は好調で、2024年1~6月の売上高は前年比1.1%増の6,725億円と堅調な回復を見せています。こうした背景を受け、三越伊勢丹ホールディングスは2026年3月期からの6カ年計画で、三越日本橋本店や伊勢丹新宿店、三越銀座店のリモデルに300億円を投資予定です。それぞれの店舗が独自性を強化し、国内外の顧客に選ばれる存在を目指しています。

SNS上では「デパ地下の新ブランドが楽しみ!」「行列必至のカフェタナカが常設になるなんてうれしい」といった期待の声が上がる一方、「高価格帯の商品が増えると使いづらくなる」といった意見も見られます。それでも、多様な顧客ニーズに応える進化が、百貨店食品売り場の未来を切り拓いていくことでしょう。

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