ロイヤルホールディングスが、新たなステージに向けて動き出しました。国内外での事業拡大を加速させ、シンガポールへの「ロイヤルホスト」の出店や、アメリカでの寿司事業への参入など、戦後生まれの外食チェーンとして100年企業を目指す挑戦を始めています。阿部正孝社長は「顧客との接点をスマートフォンアプリで増やし、『ロイヤル経済圏』を構築していく」と意気込みを語ります。
2024年8月には、ロイヤルホストがシンガポールのハブ空港であるチャンギ空港直結の商業施設に1号店をオープンしました。この店舗は、日本の主要空港で培ったブランド認知力を活かし、観光客にも広く訴求しています。日本料理ではなく、カフェレストランとして展開するのは、現地の味覚や食文化に合わせたローカライズの一環です。阿部社長は「日本水準の接客を現地で定着させるには時間が必要ですが、ブランドが育つまで丁寧に取り組みます」と語り、長期的な成長を見据えています。
一方、アメリカでは寿司文化のさらなる進化を背景に、寿司チェーンの「銚子丸」と協業し新たな店舗展開を目指します。阿部社長は「日本の良いものを世界に伝える使命を持っています。同じ志を持つ企業とともに、オールジャパンで挑戦したい」と述べ、日本の外食産業をグローバル市場に広げる意欲を示しています。
国内でも積極的な動きを見せています。ビジネスホテル「リッチモンドホテル」は、訪日外国人が全体の2割を占める中、国内顧客への価値訴求を強化しています。さらに、ホテルのポイントをロイヤルホストなど外食チェーンと連携させる仕組みを構築中で、顧客の生涯価値(LTV)を最大化する「ロイヤル経済圏」の実現を目指しています。
また、原材料費や人件費の高騰という課題にも対応しつつ、事業の多角化を進めています。英国発の大手コーヒーチェーン「コスタコーヒー」の日本展開や、冷凍食品販売などの事業拡充もその一環です。2024年12月期の通期連結業績は、売上高が前期比7%増の1492億円、純利益は34%増の54億円を見込む好調ぶりです。
SNSでは、「ロイヤルホストが海外で展開するなんて誇らしい!」「日本の寿司文化をアメリカで広げるのが楽しみ」といった期待の声が多く寄せられる一方、「現地での日本流接客は大変そう」といった慎重な意見も見られます。それでも、多様な顧客ニーズに応える姿勢が、多くの共感を呼んでいます。
創業73年を迎えたロイヤルホールディングスは、創業者の理念を引き継ぎながら、次の10年を見据えた成長戦略を展開しています。戦後生まれの外食チェーンとして、国内外の事業を通じて外食産業の未来を切り拓いていく姿に、今後ますます期待が高まります。