キングジム、防災グッズで新たな市場開拓~オフィスと家庭に寄り添うアイデア商品

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

文房具メーカーとして知られるキングジムが、防災グッズの開発に力を入れています。ペーパーレス化が進む中、事務用品の需要が減少していることを受け、アイデア商品で売上拡大を目指す戦略です。同社は2027年を目標に、2024年比で売上を1.5倍に伸ばす計画を掲げています。

2024年7月には、新商品「収納棚につける落下防止ネット」(7,700~9,680円)を発売しました。この商品は、棚から物が取り出しやすい構造にするため、ネットを面ファスナーで簡単に固定できる仕様になっています。従来の地震対策グッズに比べ、普段使いの利便性を高めた点が特徴です。

キングジムの防災グッズは、非常時だけでなく日常的にも役立つアイデアを取り入れた商品が多いことが特長です。特に人気を集めているのが、A4やA5サイズの書類ファイルと同じ寸法でオフィスの棚に収められる備蓄品シリーズです。このシリーズは、1日分の水や食料が入った基本セットからスタートし、現在では折りたたみ式ヘルメットや衛生用品を含む12種類に展開が広がっています。

その中でも「災害備蓄セット2」(5,940円)は2019年の発売以来好調で、初年度と比較して直近1年間の売上は金額ベースで2.2倍に増加しました。さらに、味のバリエーションを6種類に増やした3日分のセットも発売され、非常時でも日常に近い形で食事を楽しめる仕様が支持を得ています。開発本部の柘植史織氏は「災害時に本当に喜ばれるものを意識して企画しています」と話し、女性向けの衛生用品セットなど新たな商品にも注力しています。

また、防災への理解を深めるため、社内では営業や開発部門の社員に防災士資格の取得を奨励しています。これまでに10人が資格を取得し、2025年には新たに12人が受験予定です。防災士の資格を持つことで、商品の説明時に信頼感や説得力が増すという利点があるといいます。

キングジムは、オフィス用品にとどまらず、キッチン家具やアイデア商品など多様な市場への進出を進めています。防災グッズでも、非常時に役立つだけでなく、日常的な使いやすさを兼ね備えた商品で新たな市場を開拓する意気込みです。SNSでは「オフィスに備蓄品がぴったり収まるのは便利」「普段使いできる防災グッズは新しい」といったポジティブな声が広がっています。

今後、アイデアと実用性を兼ね備えた防災グッズが、オフィスや家庭にどのような新しい価値をもたらすのか、さらなる進化が期待されます。キングジムの挑戦が、多くの人にとって防災を身近で実践的なものに変えていくことでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*