北海道運輸局がまとめた2023年の宿泊旅行統計調査によると、道内の延べ宿泊者数が過去最多の約3963万人泊を記録しました。これは前年から36%増加し、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年と比較しても7%の増加となり、観光産業が力強く回復していることを示しています。ただし、観光業界では依然として人手不足が課題となっています。
延べ宿泊者数は、1人が1泊するごとに「1人泊」として算出されます。この大幅な増加について、北海道運輸局は「旅行需要が全国旅行支援などの政府施策によって押し上げられた結果」と分析しています。また、新型コロナ禍で控えていた旅行の反動需要も寄与しました。
一方、訪日外国人旅行者(インバウンド)の宿泊者数も急回復を見せています。2023年のインバウンド宿泊者数は約713万人泊で、前年の8倍に達しました。国別では韓国が約149万人泊と最多で、台湾や香港が続いています。しかし、2019年と比べると19%減少しており、コロナ禍前の水準にはまだ届いていません。特に中国からの旅行者は8割減少しており、国際定期便が2019年比で45%減少していることが響いています。
また、2024年1〜3月期の宿泊者数(暫定値)は約929万人泊と前年同期比で5%増加しました。このうち、インバウンド宿泊者数は約287万人泊と53%増加し、冬季の「さっぽろ雪まつり」やスキー観光が需要を押し上げました。1月と2月の客室稼働率は全国平均を上回る結果となり、北海道の観光が冬季イベントを中心に強さを見せています。
北海道の観光産業は新たな活況を迎えていますが、人材不足の問題が深刻化しています。観光需要の増加に見合ったサービスを提供するためには、迅速な人材確保が求められるでしょう。地元産業のさらなる発展には、持続可能な観光業の構築が必要不可欠です。