世界中で波紋を広げた「ゲノム編集ベビー」の誕生から数ヶ月、事態は大きな節目を迎えました。遺伝情報を意図的に書き換える画期的な技術で双子を誕生させた中国の科学者、賀建奎氏が、自ら立ち上げたバイオテクノロジー企業との資本関係を完全に解消したことが明らかになったのです。科学界のみならず、倫理的な観点からも厳しく批判されていた同氏ですが、ついに経営の第一線からも退くこととなりました。
香港からの最新の報告によれば、賀氏は2019年06月に、自身が保有していた「瀚海基因生物科技(ダイレクト・ゲノミクス・バイオテクノロジー)」の全株式を売却しました。売却先は同社の共同創設者であるとされており、深センを拠点としていた同社は、創業者との関係を断ち切ることで騒動の沈静化を図る狙いがあるのでしょう。この動きは、中国国内におけるバイオビジネスの信頼性を守るための、苦渋の選択だったのかもしれません。
ここで改めて注目したいのが、今回の騒動の核となった「ゲノム編集」という技術です。これは、生命の設計図とも言えるDNAの特定の場所をピンポイントで切断したり、新しい遺伝子を組み込んだりする最新のバイオテクノロジーを指します。本来は難病治療などへの応用が期待される素晴らしい技術ですが、受精卵に対して行うことは、その影響が次世代まで受け継がれるため、世界的に極めて慎重な議論が必要とされている分野なのです。
この衝撃的なニュースに対し、SNS上では「科学の進歩には倫理観が欠かせないことを痛感した」といった声や、「企業としてのトカゲの尻尾切りに過ぎないのではないか」という厳しい指摘が相次いでいます。最先端技術を追求する情熱は理解できるものの、生命の尊厳を軽視した独断専行は、決して許されるものではないでしょう。科学者が自身の名声やビジネスを優先し、人類全体の倫理規範を無視した代償は、あまりに大きかったと言わざるを得ません。
私個人の意見としては、今回の株式売却による関係解消は、科学の健全な発展を取り戻すための第一歩だと考えています。技術そのものに罪はありませんが、それを使う人間の手に「ブレーキ」が備わっていなければ、科学は凶器にもなり得ます。今回の事例を機に、国際的な枠組みでの規制強化が進み、透明性の高い研究環境が整備されることを切に願っています。未来の子供たちに責任を持てる科学こそが、私たちが真に求めるべき姿ではないでしょうか。