フランスの高級ブランド「ルイ・ヴィトン」が、中国・上海にチョコレート専門店をオープンし、「最も安いLV」としてネット上で話題を呼んでいます。フランスとシンガポールに続く世界3カ国目の出店となり、注目を集めています。
この店舗は、上海市内の高級商業施設内に構えられ、訪れるには事前予約が必要です。8月下旬に訪問した記者が購入したのは、1箱290元(約6000円)のミルクチョコレートで、ブランドを象徴する「モノグラム」の柄が美しくあしらわれていました。この日、最も安価な商品は240元、最高価格の商品は3段の箱入りで1408元と、ブランドの名にふさわしい高級感をまとっています。購入時にはオレンジ色のブランド紙袋に青いリボンがかけられ、美しい包装で提供されました。なお、チョコレートはフランスから輸入され、1日約140組限定で予約を受け付けているとのことです。
店内では若い顧客が目立ち、パリの街並みを再現した展示とチョコレートを写真に収める姿が見られました。SNS上では贈答用として人気を博し、「自分用とプレゼント用に4箱購入した」という男性客もいたようです。その一方で、平日にもかかわらず予約が容易に取れることから、不動産市場の悪化や景気減速が影響している様子も伺えます。
ルイ・ヴィトンを含む高級ブランドを擁するLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは、2024年上半期の決算でアジア市場における減収を報告しました。中国国内では個人消費が慎重になり、日本など海外でのブランド消費が目立っています。
SNSで注目を浴びた「最も安いLV」は、ブランドの新たな挑戦として興味深い動きです。しかし、現地消費者の冷静な反応を見ると、贅沢品市場の今後の行方と、中国の消費者心理の変化を探る重要なヒントが隠されているといえるでしょう。