GINZA SIXが若年層を魅了する理由―ラグジュアリーと体験価値の融合

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2017年に「ラグジュアリーモール」としてオープンしたGINZA SIX(東京・銀座)は、若年層を中心に高い支持を集めています。その人気の秘密は、ここでしか味わえない「体験価値」にあります。ティファニーやディオールといったラグジュアリーブランドの旗艦店を揃え、アートを取り入れた空間設計や多彩なイベントを開催することで、訪れる人々の心を捉えているのです。

会員プログラム「GINZA SIX MEMBERSHIP」では、2023年度に過去最高の会員数と売上を記録しました。その中でも30代以下の会員が47%を占め、40代以下では70%以上に達しています。特に、年間購入額330万円以上の「DIAMOND」会員の割合が伸びており、GINZA SIXが高所得層の若年層に支持されていることが伺えます。ブランドの主要店舗でしか手に入らない限定商品や独自の体験が、こうした層を引き寄せているのでしょう。

Z世代をはじめとする若い世代は、デジタルネイティブであるがゆえにオンラインショッピングが主流ですが、それだけに「ブランドの歴史や世界観を実際に体験したい」というニーズが強いといいます。例えば、高級時計ブランドのフランク ミュラーは、GINZA SIXにパティスリーを併設し、商品だけでなく「豊かな時間」を提供することで、来店者に特別な体験を提供しています。2024年8月には、パルファン・クリスチャン・ディオールが「ハウス オブ ディオール ビューティー 銀座」をオープンし、限定商品を展開しています。

さらに、GINZA SIXのもう一つの魅力は、施設中央の吹き抜け空間に展示される巨大アート作品です。毎年新たな作品に入れ替わるこの展示は、SNSを通じて多くの来店者を惹きつけています。2024年4月からはヤノベケンジ氏の「BIG CAT BANG」が飾られ、多くの写真が投稿されるなど話題を呼んでいます。また、2023年のクリスマスには、人気曲のレコードをアートとして展示し、若年層からリアルタイム世代まで幅広い支持を集めました。

こうした体験価値は、効率重視のオンラインショッピングでは得られないものです。特に、パワーカップルと呼ばれる高所得層の夫婦には、非効率的だからこそ楽しめる「ゆとりある時間の消費」として支持されています。忙しい日常の中で、ブランドの世界観に浸りながら商品を選ぶ時間が生活の質を高める手段となっているのです。

SNSでも「GINZA SIXでしか味わえない特別感」「限定品が欲しくてつい通ってしまう」といった声が多数寄せられています。開業当初は顧客層の年齢がもっと高いと予想されていたものの、ターゲットを限定せず、プロダクトアウトの視点でブランド価値を提供した結果、若年層から高い共感を得ることに成功しました。

GINZA SIXは、独自の体験価値を提供し続けることで、今後も多くの人々を引きつけていくでしょう。この場所がもたらすラグジュアリーな時間は、特別な記憶として訪れる人々の心に刻まれるに違いありません。

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