【2019年最新】16兆円の衝撃!M&Aブームの裏に潜む「のれん減損」の恐怖と世界景気への警告

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世界経済を揺るがす大きな変化が、今まさに足元で静かに、しかし確実に進行しています。2019年07月19日、M&A(合併・買収)にまつわる損失がかつてない規模で膨らんでいることが明らかになりました。2018年度における世界全体の損失額は、なんと約1550億ドル(16兆円強)に達し、前年度から66%も急増しています。これはあの2008年の金融危機以来、最大となる危機的な水準です。

今回の事態の背景には、世界的なカネ余りによって買収価格が異常に高騰していたという事実があります。そこへ米中貿易摩擦などに端を発した景気減速が重なり、買収した企業の業績が当初の想定を大きく下回るケースが相次いでいるのです。SNS上では「企業の無理な背伸びがたたり始めた」「16兆円という数字に背筋が凍る」といった不安の声が広がっており、市場の警戒感はかつてないほどに高まっていると言えるでしょう。

ここで注目すべきは、損失の元凶となっている「のれん」という専門用語です。これは、買収する企業の純資産(時価)を超えて支払われた、いわば「ブランド代」や「期待値」としてのプレミアムを指します。期待通りに収益を上げれば問題ありませんが、業績が低迷すると、その価値を帳簿上で引き下げる「減損損失」の計上を余儀なくされます。現在は、この期待の塊である「のれん」が7兆ドル超という莫大な規模に積み上がっている状況なのです。

巨大企業の悲鳴と「のれん」がもたらす負の連鎖

個別企業に目を向けると、事態の深刻さがより鮮明に浮かび上がります。2018年12月期において、アメリカの名門ゼネラル・エレクトリック(GE)は約220億ドルの巨額減損を計上し、最終赤字へと転落しました。これは過去に買収したフランスのエネルギー事業の収益が悪化したことが原因です。このように、かつての華やかな買収劇が、時を経て経営を圧迫する重荷へと変貌を遂げる光景が世界各地で見受けられます。

医薬品業界もまた、嵐の中にあります。アイルランドのアラガンやスイスのロシュ、ドイツのバイエルといった大手製薬会社が、それぞれ20億ドル前後の損失を計上しました。開発の成否が大きく分かれる業界ゆえに、大型買収に伴うリスクが露呈した形です。さらに中国では、産業機械やゲームソフト会社などによる中規模な減損が多発しており、2018年度に一定規模の損失を出した企業の約4割を中国勢が占めるという、衝撃的なデータも出ています。

減損損失自体は会計上の手続きであり、直接的に手元の現金が流出するわけではありません。しかし、企業の純粋な資産である自己資本が目減りするため、格付けの低下や資金調達コストの上昇を招くという恐ろしい側面を持っています。これが巡り巡って、企業の設備投資を冷え込ませ、ひいては経済全体の成長を阻害する「負の連鎖」へと発展しかねないのです。私たちは今、過剰な期待が招いた代償を支払わされているのかもしれません。

バブル再来か?回収に15年かかる「高値掴み」の実態

現状の危うさを物語っているのが、M&Aの「割高感」です。2018年度に実施された買収の代金は、相手企業の利益(EBITDA:税金や利払いなどを差し引く前の利益)の14.7倍にまで達しました。これは買収資金を回収するまでに約15年もかかる計算であり、M&Aが過熱した2007年度の14.1倍をも上回る水準です。つまり、多くの企業が冷静な判断を失い、未来への期待を高く買いすぎている「高値掴み」の状態にあるといえます。

私自身の見解を述べさせていただくなら、現在の状況は「期待という名のバブル」が弾け始めている予兆ではないでしょうか。企業の成長を追求するあまり、将来の不確実性を甘く見積もった経営判断が、現在の世界経済に暗い影を落としています。2018年度末時点での自己資本に対するのれんの比率は26%を超えており、企業の財務体質は以前よりも脆くなっています。投資家や私たちは、派手な買収ニュースの裏側にある「数字の真実」を冷静に見極める必要があります。

もちろん、現時点での減損比率は歴史的に見て極端に高いわけではありません。しかし、もし今後金融市場がさらに荒れ、世界的な景気後退が本格化すれば、この「7兆ドルの時限爆弾」が一気に爆発するリスクも否定できません。2019年、私たちは新たな経済危機への入り口に立っているのかもしれません。企業の不透明な「のれん」がどれほど健全なものか、今後も厳しい目を持って注視していくべきでしょう。

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