2011年の福島第一原子力発電所事故を受け、千葉県内で捕獲されたイノシシの肉に放射性物質の全頭検査が義務付けられていました。しかし、2024年1月、千葉県は勝浦市と大多喜町で捕獲されたイノシシについて、この検査が不要になったと発表しました。この動きは、地域の観光資源として注目される「房総ジビエ」の出荷拡大に弾みをつけるものです。
事故直後の2012年、千葉県内で捕獲されたイノシシの肉から、国が定めた基準値を超える放射性物質が検出され、国から出荷制限が指示されました。その後、県が定めた方針により、全ての捕獲個体に対して放射性物質の検査を行うことで、出荷が可能となる措置が取られていました。これにより、安全性を確保しながらも、房総地域のジビエ文化を守る取り組みが続けられてきました。
今回の検査不要措置は、長期的な検査データの蓄積により、対象地域で捕獲されるイノシシの安全性が確認されたことによるものです。これにより、手続きの簡略化やコスト削減が期待され、イノシシ肉の出荷量増加に寄与すると見られます。
千葉県は「房総ジビエ」としてイノシシ肉をはじめとしたジビエをブランド化し、地域の観光振興に活用する取り組みを進めています。地元飲食店では、イノシシ肉を使用した煮込み料理やステーキがメニューに取り入れられ、観光客にも好評を博しています。また、SNSでは「房総ジビエの魅力を堪能できる」「千葉の自然とジビエ料理の絶妙な組み合わせ」といったコメントが寄せられ、注目が高まっています。
この検査不要の決定を受け、「房総ジビエ」のさらなるブランド価値向上が期待されます。地域の豊かな自然が育む安全で美味しいジビエが、多くの人々に届けられることで、千葉県の観光資源としても新たな魅力を発揮していくでしょう。