オフィスに冷蔵庫を設置し、サラダや旬の果物、総菜を手軽に楽しめる「置き社食」サービスを展開するKOMPEITO（コンペイトウ、東京都品川区）が、新たな飛躍を目指しています。同社は、ベンチャーキャピタル（VC）を含む14社を引受先とする第三者割当増資で10億7000万円を調達し、さらに商工中金やりそな銀行など4行から11億円の借り入れも行いました。調達資金は、地方での顧客開拓や営業人員の増強、さらにはM&A（合併・買収）に充てられる予定です。
同社が手掛ける「OFFICE DE YASAI（オフィスで野菜）」は、専用冷蔵庫をオフィスに設置し、社員が好きな時にサラダや果物を手軽に購入できる仕組みを提供しています。このサービスは、大都市圏を超えて地方でも急速に導入が進み、2020年時点で19％だった地方での設置割合が、2024年には52％にまで拡大しました。累計設置台数は約1万3000台を超え、地方の企業や地域の需要を取り込むことで成長を続けています。
首都圏でも社員食堂の代替として「置き社食」を導入する企業が増えており、2024年8月期の売上高は前期比で80％増加する見込みです。これを受けて、KOMPEITOは現在約110人の社員を、1年後には160人に増員する計画を発表。特に営業職の採用を強化し、これまで営業連携していた地方銀行約60行に加え、信用金庫や信用組合とも連携を広げる方針です。
さらに、地域ごとに効率的な食品供給体制を構築するため、M&Aにも積極的に取り組む姿勢を示しています。渡辺瞬代表は「地元の総菜メーカーやスーパーマーケットの買収を進めたい」と述べており、サプライチェーンの強化を目指しています。加えて、2024年5月には米国ロサンゼルスに支社を設立し、海外展開に向けた準備も本格化させています。
今回の増資には、JICベンチャー・グロース・インベストメンツやあおぞら企業投資などのVCが参加し、KOMPEITOの成長可能性に高い期待を寄せています。SNS上でも「オフィスで野菜が地方でも使えるのは便利！」「働く環境がどんどん良くなっている」といったコメントが広がり、注目を集めています。
「オフィスで野菜」というユニークなサービスを軸に、地方から海外まで成長を見据えるKOMPEITOの取り組みは、社員の健康意識を高めるだけでなく、地方経済やサプライチェーンの活性化にも寄与するでしょう。この革新的なビジネスモデルが、働き方と食の未来をどのように変えていくのか、期待が高まります。