カマラ・ハリス副大統領の濃紺スーツが語る、戦略的ファッションと政治的メッセージ

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2023年8月22日、カマラ・ハリス副大統領が民主党大統領候補指名を受けた際の演説で着用した濃紺のスーツが、米国メディアで大きな話題を呼んでいます。女性政治家にとって服装はしばしば戦略的なツールとなりますが、今回の選択にはどのような意図があったのでしょうか。

ハリス氏が身にまとったのは、フランスの高級ブランド「クロエ」による特注の濃紺パンツスーツでした。同色のブラウスには、大きなリボンが特徴の「プッシーボウ」スタイルが採用され、これが洗練された印象を引き立てました。同時に、彼女の装いは威厳や知性を象徴し、視覚的に支持者へメッセージを送る役割も果たしました。

この日の会場では、多くの女性代議員が白い服を着用しており、女性の参政権運動の象徴として広く知られる「白」の意味を反映していました。白は、2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントン氏が指名受諾演説で選んだ色でもあり、アメリカ初の女性大統領への期待を込めた象徴的な選択として知られています。しかし、ハリス氏はあえて濃紺を選び、「女性初」を強調しすぎず、広範な支持を得る戦略をとったと見られます。

ファッション誌「マリ・クレール」に寄稿したライター、ケルシー・スティーグマン氏は、濃紺は「品格、威厳、知性を示す色」であり、権力者が好む色合いだと説明しています。また、「プッシーボウ」のブラウスについても、1960~70年代に社会進出を果たした女性たちがネクタイの代わりに取り入れたアイテムで、英国初の女性首相マーガレット・サッチャー氏が愛用したことで知られると述べています。

さらに、ハリス氏が党大会初日に選んだベージュのパンツスーツも話題を呼びました。この装いに対し、オバマ元大統領が自身の2014年8月28日の記者会見で着用した同系色のスーツ姿とハリス氏の写真を並べてSNSに投稿。「10年後もまだ格好いい!」とコメントし、ハリス氏への支持を呼び掛けたことで、多くの関心を集めました。

SNS上でも「ハリス氏のスーツは新時代を象徴する戦略的選択」「政治とファッションが交差する瞬間」といった反応が見られ、特にその装いが持つメッセージ性に注目が集まっています。女性政治家にとって、ファッションは単なる外見の選択肢にとどまらず、政治的立場や価値観を伝える重要なツールとなっていることを改めて感じさせる出来事でした。

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