2019年07月21日の投開票を目前に控え、3年に1度の参議院議員通常選挙が実施されています。しかし、街頭演説や報道からは今ひとつ熱気が伝わってきません。「政治の安定」を旗印に掲げる与党と、対抗軸としての具体的な「変化」を示しきれない野党の間で、どこか噛み合わない議論が続いているからでしょう。有権者の間でも「結局、参議院って何のためにあるの?」という根本的な疑問が、SNSを中心に渦巻いています。
そもそも参議院は、衆議院と違って政権交代に直結するわけではなく、総理大臣を指名する権限も実質的には衆議院が優先されます。教科書的には「良識の府」として、衆議院の行き過ぎを抑える「チェック・アンド・バランス(抑制と均衡)」の役割が期待されてきました。これは、一つの議院が暴走しないよう、別の視点から政策を吟味する仕組みを指します。しかし、現実はどうでしょうか。衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」では物事が決まらず、同じ勢力が握れば二度手間の審議が繰り返されるだけだという批判も根強いのです。
「仮の居場所」からの脱却と参議院の存在意義
現在の参議院は、衆議院への鞍替えを狙う政治家にとっての「一時的な待機場所」と化している側面も否定できません。アメリカの上院のように、大統領候補を次々と輩出するような強力な人材の宝庫とは言い難いのが現状です。衆議院議員が解散の恐怖に怯えながら地域のために奔走する一方で、6年という長い任期が保証されている参議院議員は、その安定した立場を十分に活かして国民のために働いているのか、厳しい視線が注がれています。
本来であれば、参議院こそが少子高齢化に伴う社会保障制度のあり方など、国家の長期的な課題をじっくりと議論する場であるべきではないでしょうか。残念ながら今回の選挙戦でも、大切な判断材料となる年金の財政試算公表が選挙後に先送りされるなど、不都合な真実から目を背ける動きが見られます。議論を避けたい与党と、代案なき批判に終始する野党。これでは、参議院の存在意義が低下していくのも無理はありません。私は、今こそ参議院を「民主主義の実験場」として再定義すべきだと考えます。
若者の声を政治に届ける「ネット投票」と制度改革の必要性
現代の日本が抱える大きな闇の一つに「シルバー民主主義」があります。これは、人口が多く投票率も高い高齢層の意見が優先され、若年層の声が政策に反映されにくくなる現象です。2016年に選挙権年齢が18歳に引き下げられましたが、立候補できる年齢(被選挙権)は参議院で30歳以上のまま据え置かれています。若者の未来を左右する年金制度の世代間格差を正すためには、もっと若い世代が政治の表舞台に立つ仕組みが必要不可欠でしょう。
そのための第一歩として、インターネット投票の導入を参議院選挙からスタートさせるべきです。若者にとって身近なデバイスでどこからでも投票可能になれば、投票率は劇的に向上するに違いありません。面白いことに、最近では若年層ほど現政権を支持し、かつての学生運動世代である高齢層が野党を支持するという逆転現象も起きています。若者の声を拾い上げる改革は、与党にとっても決して不利な話ではないはずです。次の2022年の参議院選挙までに、この宿題をどう解くかが日本の未来を左右するでしょう。