大学3年生にとって、夏のインターンシップは「就職活動の始まり」を強く意識させる機会となるようです。リクルートワークス研究所による調査では、2025年卒業予定の大学生や大学院生に対する求人倍率が1.75倍と、学生には有利な環境が広がっています。しかし、その一方で人気企業に応募が集中し、結果的に「大量応募・大量不合格」という厳しい現実も依然として存在します。この構造の中で、多くの学生が何度も不合格を経験し、自信を失ってしまうことも少なくありません。
就活のような試練を乗り越えるためには、周囲の支えが欠かせません。その中でも、もっとも身近で頼りになる社会人の先輩として親の役割はとても重要です。2024年卒業予定の学生を対象とした調査では、卒業後の進路を考える際に「親からの影響を受けた」と回答した学生が35.7%と最も多く、「友人」(30.3%)や「大学の先生」(21.5%)を上回る結果となりました。さらに、コロナ禍以降のリモートワークの普及により、親の働く姿を間近で見る機会が増え、働き方に関心を持つ学生も多いようです。
学生に対して「親との関わりでよかったこと」を尋ねた調査では、「個性を尊重して自分の活動を肯定してくれた」が41.6%、「普段と同じ態度で見守り、聞き役に徹してくれた」が39.9%と上位を占めました。一方で、「親との関わりで嫌だったこと」に関する回答では、「特にない」が67%と圧倒的多数を占め、親からのサポートを基本的にポジティブに捉えていることが分かります。ただし、「自分の進路に否定的な反応をされた」「他人と比較された」「価値観を押し付けられた」という意見も少数ながら寄せられ、親の態度が子どもに与える影響の大きさが改めて浮き彫りになりました。
就職活動の内定時期は年々早まっており、「タイパ良く効率的に終わらせたい」と考える学生も増えています。しかし、就職活動は単なる内定獲得をゴールとするものではなく、豊かな人生を実現するための第一歩となる職場選びの時間です。この過程では、自分自身が大切にしたい「選社基準」を磨くことが求められます。そのため、親も「どんな人生を送りたいのか」「働くことの意味とは何か」といった大きなテーマを子どもと共に考える時間を大切にしてみてはいかがでしょうか。
SNSでは「親との対話が進路選びに役立った」という学生の声や、「子どもの個性を尊重する大切さを学んだ」という親からの投稿が目立ちます。就職活動をきっかけに、親子でキャリアや人生について深く話し合う機会が生まれれば、それは就活以上に大きな財産となるでしょう。親の応援と理解は、子どもにとって何よりも心強い支えとなるはずです。