ノルウェーの挑戦:気候変動対策と海洋資源で描く未来への責任

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ノルウェーのアンドレアス・クラービーク外務副大臣は、石油・ガス生産国としての役割と責任を重く受け止めています。同氏は2024年8月30日までトンガで開催された太平洋諸島フォーラム(PIF)の会合に出席し、気候変動の影響を受ける島嶼国を支援する「道義的責任」があると強調しました。ノルウェーは気候変動による損害を受けた途上国支援のため、2023年に約37億円を拠出することを表明しており、世界最大規模の気候基金「緑の気候基金(GCF)」でも7位の資金提供国となっています。

クラービーク氏は、ノルウェーが掲げる2050年のカーボンニュートラル目標を達成する必要性についても言及し、エネルギー安全保障と脱炭素化のジレンマについて、島嶼国との対話を深める姿勢を示しました。同国は輸出収入の7割を海洋産業が占める「海洋国家」として、島嶼国と共通の課題を抱えており、気候変動対策や海洋資源の持続可能な活用で協力を進める意向です。

ノルウェーは深海鉱物の採掘でも先陣を切っており、2024年1月には北極圏周辺での採掘計画が議会で支持される見込みです。これが実現すれば、ノルウェーは世界初の深海鉱物採掘を正式に認める国となります。同時に、電気自動車(EV)の普及が進む中、リチウムやコバルトなどの重要鉱物の供給で中国への依存を減らし、自主的な調達を目指しています。このような動きは、環境保護と資源確保のバランスを取る新たな挑戦と言えるでしょう。

一方、島嶼国ではナウルやキリバスが深海採掘に関心を示していますが、クラービーク氏は国際海域での採掘規制に関する議論は国連の国際海底機構(ISA)と進めるべきと述べ、ノルウェー政府としての直接的な関与を避ける立場を明らかにしました。

ノルウェーと日本の関係も強化されています。2025年には外交樹立120周年を迎える両国は、2023年に岸田文雄首相とストーレ首相が初の共同声明を発表し、「戦略的パートナー」としての関係を構築しました。さらに、英国が2025年にインド太平洋地域に派遣する空母打撃群にノルウェーが参加する予定で、政治的、学術的、そして企業間の交流を通じた協力も深まっています。

クラービーク氏は「ノルウェーも中国の南シナ海進出に対する懸念を共有しており、価値観を同じくする日本との対話を重視している」と述べました。気候変動対策、海洋資源の活用、地政学的な課題解決に向けた両国の連携は、未来に向けた新たな可能性を広げるでしょう。

SNSでは、「ノルウェーの環境責任への取り組みは他国の模範となるべき」「海洋国家同士の協力が期待される」といった意見が多く見られます。気候変動や資源管理というグローバルな課題に対して、ノルウェーが果たす役割は、今後さらに注目を集めていくに違いありません。

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