日本の製造業を下支えする「黄色い巨人」ことファナックから、今後の事業戦略を左右する重要な人事異動が2019年07月22日付で発表されました。今回の異動で最も注目すべき点は、同社が提唱するIoTプラットフォームの要となる部署に、強力なリーダーが配置されたことでしょう。現場に即した営業技術の強化と、デジタル領域の進化を同時に推し進める布陣となっており、世界中の工場が目指すスマート化への本気度が伝わってきます。
まず、FA事業本部におけるFA国内セールス本部では、明田幸秀氏がFA国内営業技術の舵取りを担うことになりました。これまではFA自動車推進という、日本の基幹産業である自動車業界に特化した分野で手腕を振るってきた人物です。ここでいうFAとは「ファクトリーオートメーション」の略称であり、工場内の生産工程をコンピューターやロボットで自動化する技術を指します。熟練の技術が、今後はより幅広い国内市場の営業技術へと還元されることが期待されています。
SNS上では、今回の人事に対して「自動車業界で培ったノウハウが他の製造現場にどう波及するのか楽しみだ」といった期待の声が上がっています。また「現場を知り尽くした人物が営業技術のトップに立つことで、より実用的な自動化提案が進むのではないか」という予測も飛び交っており、業界関係者からの関心の高さが伺えます。日本のものづくりが直面している労働力不足という課題に対し、ファナックがどのようなソリューションを提示するのか、多くの目が注がれているのです。
一方、デジタル戦略の最前線であるFIELD推進本部では、上口賢男氏がFIELD推進本部の次長とサービス企画開発を兼務しつつ、新たにデータサービス開発のトップに就任しました。「FIELD system」とは、異なるメーカーの機械同士をネットワークで繋ぎ、工場全体のデータを一括管理・分析する高度なオープンプラットフォームのことです。これまでは「つながる」ことが目標でしたが、今後は蓄積されたデータをどうサービスに昇華させるかが、勝負の分かれ道になるでしょう。
編集者の視点から見れば、この人事は単なる役職の変更ではなく、ハードウェア(機械)とソフトウェア(データ)の融合を象徴する動きだと感じます。これまでのファナックは「壊れない、止まらない」という圧倒的な信頼性を誇ってきました。しかし、2019年07月現在のトレンドは、そこから一歩進んで「データを使って生産性を最大化する」フェーズに移行しています。上口氏が率いるデータサービス開発部門は、まさにその心臓部としての役割を果たすはずです。
製造現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれる中で、日本を代表するメーカーがこうした攻めの体制を整えたことは、産業界全体に勇気を与えるニュースと言えるでしょう。営業技術の明田氏と、データサービスの面でバックアップする上口氏。この両輪が噛み合うことで、工場の稼働状況を可視化し、故障を未然に防ぐ「予兆保全」などのサービスがより身近なものになります。2019年、ファナックが描く次世代工場のビジョンは、より鮮明な形となって私たちの前に現れるに違いありません。