日本製紙連合会が2019年07月23日に発表した統計データによると、同年06月の国内における紙・板紙の出荷量は191万1000トンにとどまり、前年同月と比較して5.4%も減少したことが明らかになりました。この5%を超える大幅な落ち込みは、2014年11月以来、実におよそ4年7カ月ぶりの出来事となります。デジタル化の進展によるペーパーレス化という構造的な課題に加え、今回は季節要因が大きく影を落としているようです。
今回の需要低迷に拍車をかけた大きな要因の一つが、記録的な「冷夏」の到来です。前年の2018年は厳しい猛暑に見舞われたことで、ビールや清涼飲料水の需要が爆発的に伸び、それらを梱包する段ボールの出荷も非常に活発でした。しかし、2019年06月は一転して気温の低い日が続いたため、飲料業界全体の荷動きが鈍くなってしまったのです。季節の変動がこれほどまでに紙の出荷統計にダイレクトに反映される事態は、まさに異例と言えるでしょう。
SNS上では、このニュースを受けて「これだけ涼しければ飲み物を箱買いする人も減るだろう」「改めて天候が経済に与える影響の大きさを実感した」といった驚きの声が広がっています。また、普段から仕事で印刷物を扱うユーザーからは、「タブレット端末の普及でチラシやカタログが減っている実感はあるけれど、段ボールまで減るとは意外だった」という意見も見受けられ、物流の現場で起きている異変に多くの注目が集まっている状況です。
ここで言う「板紙(いたがみ)」とは、私たちが日常的に目にする段ボールの原紙や、お菓子の箱などに使われる厚い紙の総称を指します。一方の「印刷・情報用紙」は、雑誌やコピー用紙、チラシなどに用いられる紙のことですが、こちらは以前から減少傾向が続いていました。今回はこの慢性的な紙離れに、本来なら需要を支えるはずの板紙の不調が重なったため、業界全体にとって非常に厳しい着地となったことが推察されます。
2019年上半期(01月から06月まで)の累計出荷量を見ても、前年同期比で2.5%減となっており、業界の苦境は明白です。個人的な見解としては、もはや単なる景気サイクルの一環として楽観視できる段階ではないと感じます。気候変動による需要予測の難しさに加え、急速なデジタルシフトが進む中で、製紙業界は従来のビジネスモデルからの脱却や、高付加価値な新素材の開発といった抜本的な改革を迫られているのではないでしょうか。