岐阜県を拠点に、高齢者施設や病院でピアノの演奏ボランティアを続ける中学1年生、熊沢結南(ゆいな)さん(13)が注目を集めています。彼女は楽譜を使わずに耳で聴いた曲を再現する「耳コピ」の才能を持ち、童謡や演歌、アニメソングなど幅広いジャンルの曲を演奏しています。聴いた人々からは「心に響く演奏だ」と笑顔がこぼれ、その一音一音が多くの人の心を癒しています。
2024年8月には、岐阜市内の高齢者施設で演奏会を開催。映画『サウンド・オブ・ミュージック』の曲や演歌『津軽海峡・冬景色』を披露すると、会場の高齢者たちは手をたたきながら口ずさみました。また、子どもたちからのリクエストに応えて映画『となりのトトロ』の「さんぽ」を即興で弾くなど、その場の雰囲気を盛り上げる演奏は圧巻でした。特に、祖父の車で流れていた荒木とよひささんの『四季の歌』を記憶だけで再現した演奏には、70代の女性が「言葉では言い表せない感動がある」と感嘆の声を上げていました。
熊沢さんの音楽の才能は幼い頃から際立っていました。3歳のときに電子ピアノを触り、いきなり童謡を再現して家族を驚かせたのが始まりです。幼稚園で覚えた曲を家で弾いて楽しんでいた彼女は、5歳からピアノ教室に通い、クラシックのコンクール全国大会で入賞したこともあります。その腕前は、すでに多くの場で注目されていました。
彼女のボランティア活動の原点は、小学校低学年時代にさかのぼります。市内の飲食店での演奏を経験した後、弟が入院していた病院の待合室で暗い表情の患者や家族を目にし、「ピアノの演奏で少しでも心を明るくしたい」と考え、母親に相談したのがきっかけでした。以降、病院や高齢者施設での演奏活動を積極的に始めました。
特に心に残っているエピソードの一つに、病院で披露した山口百恵さんの名曲『いい日旅立ち』があります。この演奏を聴いた高齢の男性患者が「若い頃に北海道から上京した思い出がよみがえった」と涙ながらに語り、感謝の言葉を伝えてくれたことが、彼女にとって大きな励みになっているといいます。
「演奏を通じて『ありがとう』と言ってもらえることが本当にうれしい」と笑顔で語る熊沢さん。将来は活動を全国に広げ、多くの人に音楽の喜びを届けたいと意欲を見せています。
SNSでは、「こんなに素敵な中学生がいるなんて感動!」「演奏を聴いてみたい!」といった称賛の声があふれています。熊沢さんの活動は、音楽の力が人々の心にどれだけ大きな影響を与えるかを改めて教えてくれます。彼女の音楽がこれからさらに多くの人々に感動を届ける未来が楽しみです。