小林製薬新社長、異例の批判と再生への決意:創業家との溝を乗り越えられるか

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2024年8月8日、小林製薬の新社長として初めて報道陣の前に立った山根聡氏(64)は、サントリーホールディングス社長・新浪剛史氏(65)からの厳しい批判に対し、「正直、私も恥ずかしい。ショックだった」と率直な感想を述べました。この発言は、創業家出身の小林一雅氏(84)が特別顧問に就任した件や、健康被害への対応をめぐる批判に対するもので、山根氏の新たなリーダーシップの始まりを象徴しています。

事の発端は、8月2日の経済同友会定例会見で、代表幹事を務める新浪氏が「質問が来ないなら、私から話す」と前置きし、小林製薬の取締役会運営を「世界に対し、みっともない」と厳しく非難したことでした。この発言は、創業家が中心となって築き上げた現在の経営体制に対する強烈な警告であり、山根氏もこれに同調する形で「創業家の説明責任はある」と明言しました。この発言には、創業家との溝を深める覚悟が滲んでいました。

山根氏は小林製薬で長年管理部門を中心にキャリアを積み、広報部門の責任者も務めてきました。その献身的な働きぶりから「執事」と称されるほど創業家を支えてきた人物です。しかし、今回の健康被害問題への対応を契機に、引退を決意していた自身が急遽社長職を引き受ける形となりました。7月23日の人事発表直前には「自分に社長が務まるのか」と周囲に漏らしていたという山根氏ですが、8月8日の就任時にはその顔に疲労の色が浮かんでいました。

小林製薬は今年初頭から健康被害問題が浮上しており、山根氏自身も取締役会の一員として責任を免れる立場ではありませんでした。今年2月13日にグループ執行会議で健康被害の報告を受けた際、「3件もの腎疾患が同時に発生する可能性は低い。警戒レベルを上げるべきだ」と指摘したものの、被害公表まで1か月以上を要した対応の遅れについても批判が寄せられています。

SNSでは、「経営陣の一新が必要ではないか」「創業家主導の経営の限界が露呈している」といった厳しい意見が飛び交う一方、「山根氏の率直さに期待したい」という声もあります。新社長として健康被害問題への対応を迅速に進め、失われた信頼をどう回復するかが問われています。

小林製薬が再び社会から信頼を得るためには、創業家との溝を埋め、透明性の高い経営体制を確立することが必要です。山根氏が示した覚悟と誠実さが、次なる一歩を導く原動力になるでしょう。険しい道のりではありますが、課題を乗り越えることで、同社の新たな未来を切り開くことが期待されます。

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