AIが融資ニーズを先読み!NTTデータが挑む金融営業のDX革命と信用金庫の未来

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金融機関の営業スタイルが、テクノロジーの力で劇的な転換点を迎えようとしています。株式会社NTTデータは、2019年07月25日、人工知能(AI)を活用して資金ニーズを予測する新しいサービスの商用化を検討していると発表しました。この試みは、膨大なデータの中から「今、融資を必要としているのは誰か」をAIが自動で導き出すもので、主に地域密着型の信用金庫などを対象に展開される予定です。

この画期的なシステムは、NTTデータ数理システムと共同で開発が進められており、2020年01月から03月にかけてのサービス開始を目指しています。具体的には、顧客の属性情報や過去の取引履歴、現在の契約内容といった「ビッグデータ」を解析します。ここで言うビッグデータとは、人間では処理しきれないほど膨大で複雑な情報の塊を指しており、これをAIが学習することで、次に資金が必要になるタイミングを予測する仕組みです。

SNS上では「ベテラン職員の勘が数値化されるのは興味深い」「効率化で浮いた時間が、より深い相談業務に充てられると良い」といった期待の声が上がっています。一方で、AIによる自動リスト化に対し、データのプライバシー保護や活用の透明性を求める意見も見られました。しかし、少子高齢化や低金利の影響で経営環境が厳しい地域金融機関にとって、無駄な訪問を減らす効率化は避けて通れない課題と言えるでしょう。

先行して行われた大阪シティ信用金庫などとの実証実験では、驚くべき成果が報告されています。従来の経験則に基づいた営業活動と比較して、潜在顧客を予測する精度が約3倍も向上したというのです。これは、渉外員(外回り営業を担当する職員)が訪問先を選ぶ際の迷いを払拭し、成約の可能性が高い相手に集中できることを意味しています。限られた人員で最大の成果を出すための、強力な武器になるに違いありません。

法人から個人へ広がるAI活用の波と地域経済への影響

NTTデータは、まず法人向けの融資予測からサービスをスタートさせ、将来的には個人向けのローン商品などへも適用範囲を広げていく構想を持っています。ターゲットは信用金庫にとどまらず、信用組合や労働金庫といった幅広い金融機関への導入を視野に入れているそうです。AIという最先端の知性を現場に組み込むことで、獲得コストの削減と収益性の向上の両立を狙っている点がこのプロジェクトの核心でしょう。

私は、この取り組みが単なる「効率化」以上の意味を持つと考えています。地域金融機関の役割は、単に数字を追うことではなく、地域企業の成長を支える伴走者であることです。AIが「誰が困っているか」を正確に示してくれるならば、本当に支援を必要としている企業を見落とさずに済むはずです。テクノロジーは冷徹な選別ツールではなく、温かみのある対話を生むためのきっかけとして機能すべきではないでしょうか。

今後、AIによるリスト作成が標準化されれば、営業担当者には「提案力」や「共感力」といった、AIには代替できない高度な対人スキルがより強く求められるようになるでしょう。2020年の商用化に向けて、現場の職員がどのようにこのツールを使いこなし、地域社会を活性化させていくのか、その動向から目が離せません。デジタルとアナログが融合する新しい金融の姿が、今まさに形作られようとしています。

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