医師の負担が特定の診療科に集中している現状が浮き彫りになりました。特に1週間の労働時間が60時間を超える医師の割合が最も高いのは消化器外科で40%に達し、次いで呼吸器外科が38%、救急科と心臓血管外科がそれぞれ37%と続いています。これらの診療科では、長時間の外科手術や突発的な救急対応が求められることが多く、労働時間が長くなる傾向にあるのです。
一方で、リハビリテーション科や精神科、眼科、皮膚科などでは週60時間以上働く医師の割合は比較的低く、診療科による負担の偏りが明らかになっています。このような負荷の違いが、医師の働き方改革に影響を与えています。特に負担が大きい診療科では、働き方改革に伴い診療制限を経験したと答える医師の割合が高く、呼吸器外科では34%、救急科が31%、心臓血管外科が27%、消化器外科も24%に達しました。
外科系の医師数は厚生労働省のデータによれば、2008年以降の増加率が全診療科の中で最も低くなっています。これには過酷な労働環境が影響しており、働き方改革が進まなければ外科系診療科からの医師離れが加速する懸念があります。特にSNS上では、「外科系の医師は献身的すぎる」「改革で労働環境が改善されなければ、医療の質が低下しかねない」といった意見が多く寄せられています。
医師の労働環境の改善には、単なる制度変更に留まらず、医師が働きやすい環境を整え、偏りを是正するための施策が不可欠です。また、患者側も医師に過剰な負担をかけない意識が求められるでしょう。こうした取り組みが、医療現場全体の持続可能性を高める鍵となるはずです。