2024年秋、日本の外交は多忙な日程と国内政治の動きが交錯する状況に直面しています。9月27日に予定されている自民党総裁選の結果を受けて、新総裁のもとで新政権が発足するまでに約1週間を要する見通しです。その間、国内では臨時国会が開催され、新首相による所信表明演説や衆参両院の代表質問が進行する一方で、国際社会では多くの重要な会議が予定されています。
特に9月下旬にはニューヨークで国連総会、10月8日から11日にはラオスでASEAN関連首脳会議が開催されます。この会議はアメリカや中国が主要メンバーとして参加し、東南アジア諸国連合(ASEAN)を巡る影響力の争いが繰り広げられる場です。しかし、11月5日に控える米大統領選挙の影響でバイデン大統領やハリス副大統領が出席できない可能性があり、もし日本の首相も欠席となれば、中国が独壇場となる恐れがあります。
その後の11月15日から16日にはペルーでAPEC首脳会議、18日から19日にはブラジルでG20首脳会議が予定されています。特に今年のG20では議長国ブラジルが中国やロシアと近い関係を持つため、中国が発言力を強めることが予想されています。日本としては、ASEAN関連会議を含むこれらの国際会議で、国際法の遵守や日本の立場をしっかりと発信する必要があります。
さらに、日中関係でも難題が山積しています。2022年11月には岸田文雄首相と習近平国家主席がAPEC首脳会議で3年ぶりに対面会談を実施し、2023年にも首脳会談が行われましたが、東京電力福島第一原発の処理水放出をめぐる中国の日本産水産物禁輸措置や邦人拘束問題など、未解決の課題が多く残っています。8月26日には中国軍機が日本領空を侵犯する事態も発生し、防衛当局間の対話が続けられていますが、偶発的な衝突を防ぐためにも、首脳間の定期的な対話が不可欠です。
また、総裁選に出馬の意向を示す上川陽子外相が国連総会への出席を見送る可能性も指摘されており、外務省内部でも懸念が高まっています。過去にも外相が国会日程を理由に外交の舞台に立てないケースが問題視されてきましたが、国内政治と外交のバランスをどう取るかが改めて問われています。
SNSでは、「総裁選が日本の外交力を弱めることがあってはならない」「ASEANで日本が存在感を示すべき」といった意見が広がる一方、「国内政治のスケジュールが国際的な立場に影響するのは残念」といった批判も見られます。
2024年秋、日本外交はアメリカの大統領選挙の行方や、ASEAN諸国の動向に加え、総裁選がもたらす影響に大きく左右される状況にあります。今後、国際社会での発言力を維持し、日本の立場を強化するためには、迅速かつ戦略的な対応が求められるでしょう。