政府は2025年度から、国と地方自治体が利用する共通クラウド基盤「ガバメントクラウド(政府クラウド)」の利用料を自治体が支払う新たな制度を導入します。この制度では、自治体が納めた利用料を国が一括して事業者に支払う仕組みを採用し、コスト削減や契約の効率化を目指しています。
当初、この負担は2024年度から始まる予定でしたが、デジタル庁の制度設計が遅れたため、2024年度の利用料150億円のうち、本来自治体が負担するはずだった約50~70億円を国が肩代わりする形になっています。新制度では、自治体が納めた利用料を国が「預かり金」として管理し、事業者にまとめて支払う方針です。この保管金制度を実施するには法的根拠が必要であり、デジタル庁は2024年秋の臨時国会への関連法案提出を目指して準備を進めています。
この一括払いの仕組みによって、政府は大口契約や長期契約での割引を享受し、自治体の負担を最大で2割削減できると試算しています。これにより、個別契約に比べて大幅なコスト削減が期待されます。
政府クラウドは、国や自治体が同一基盤上でシステムを運用することで、効率的かつセキュアなデータ管理を可能にするものです。この基盤には、米国のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や国内唯一のプロバイダーであるさくらインターネットなど、選定された5つの事業者がサービスを提供しています。クラウド基盤を共通化することで、自治体ごとに異なるシステムを使う非効率が解消される一方、運用コストの透明化や負担の公平性が課題として浮上しています。
SNSでは、「自治体負担の明確化は重要だが、小規模自治体への支援も必要」「一括払いでコスト削減が進むのは良いニュース」といった前向きな声が上がる一方、「国が管理する資金が増えることで透明性は確保されるのか」「地方に負担を押し付ける結果にならないか」といった懸念も広がっています。
ガバメントクラウドは、行政サービスの効率化を推進するデジタル庁の重要な取り組みの一つです。自治体の財政負担とコスト削減のバランスをどう取るかが、この制度の成功の鍵を握っています。今後の国会審議で、その具体的な運用方法や負担軽減策がさらに明らかになることが期待されます。