2019年07月26日、日本の製薬業界を揺るがす大きな覚悟が示されました。国内大手の製薬会社であるエーザイの舵を取る内藤晴夫社長が、認知症治療薬の開発に対して並々ならぬ執念を燃やしています。同社は現在、世界中の巨大製薬企業、いわゆる「メガファーマ」と肩を並べ、現代医学における「人類最後の敵」とも称される認知症という難敵に真っ向から立ち向かっている最中です。
しかし、その道のりは決して平坦ではありません。2019年03月、最も製品化に近いと期待されていた有望な新薬候補の開発断念を発表し、市場には大きな衝撃が走りました。この影響で株価は現在も厳しい低迷を続けており、投資家からの視線は非常に鋭いものとなっています。それでも内藤社長の表情に陰りはなく、むしろ逆境を糧にするような強い意志が感じられるでしょう。
エーザイの年間売上高は約6000億円規模であり、世界ランキングでは40位前後に位置しています。数兆円規模の資金力を誇るメガファーマですら次々と撤退を余儀なくされる認知症分野において、この規模の企業が挑戦を続けるのは異例と言えるかもしれません。SNS上では「日本の技術力に期待したい」という応援の声がある一方で、「リスクが大きすぎるのではないか」という不安の声も渦巻いています。
開発断念を乗り越え、社長が掲げる「使命感」の正体
ここで言う「新薬の開発」とは、病気の症状を一時的に和らげるだけでなく、脳に蓄積する有害なタンパク質を取り除いて病気の進行そのものを食い止める「疾患修飾薬」を目指すものです。内藤社長はこの困難なプロジェクトを自身の「使命」と位置づけており、一時の失敗で足を止めるつもりは毛頭ありません。まさに今、同社は企業としての真価が問われる正念場を迎えていると言えるでしょう。
筆者の視点から見れば、認知症薬の開発は単なるビジネスの域を超えた、人類の未来を左右する聖戦であると感じます。確かに経済合理性だけを考えれば、成功確率の低い分野に巨額を投じるのは無謀に見えるかもしれません。しかし、誰かが成し遂げなければならない課題に対し、日本企業が先頭に立って情熱を注ぐ姿は、多くの人々に希望を与えるのではないでしょうか。今後の展開から目が離せません。