日本を代表するIT企業の雄である富士通が、2019年07月25日に発表した最新の決算短信は、市場に驚きを与えています。2019年04月01日から2019年06月30日までの3ヶ月間における連結純利益は70億円にとどまり、前年の同じ時期と比較して9割も減少するという衝撃的な数字となりました。一見すると急激な業績悪化のように映りますが、この背後には会計上の特殊な要因が複雑に絡み合っているようです。
売上高についても、前年同期比で3%減少した8387億円となっており、緩やかな減収傾向が見て取れます。利益が大幅に圧縮された最大の理由は、前年度に計上された「退職給付制度の変更」に伴う一時的な利益の反動です。これは、企業が従業員の将来の年金や退職金の支払いルールを見直した際、計算上の負債が減ったことで利益が押し上げられる現象を指しますが、本年度はその「魔法」が解けた形と言えるでしょう。
加えて、前年度の好調を支えていたパソコン事業の譲渡益がなくなったことも、利益の押し下げに拍車をかけています。富士通は現在、ハードウェアの製造からITサービスを主軸としたビジネスモデルへと舵を切る「構造改革」の真っ只中にあります。主力事業の入れ替えに伴う一時的な利益の減少は、避けては通れない産みの苦しみなのかもしれません。SNS上では「9割減はインパクトが強すぎる」と驚く声がある一方、「中身を見れば想定内」と冷静に分析するユーザーも散見されます。
構造改革の過渡期にある富士通の現在地と編集部の視点
今回の決算発表を受けて、SNS上では「日本のIT大手も厳しい戦いを強いられている」といった不安の声が目立っています。しかし、これは単なる衰退ではなく、過去の遺産を整理して次世代の収益源を確保するための「筋肉質な体質改善」に向けたステップだと解釈すべきでしょう。一時的な利益の増減に一喜一憂するのではなく、クラウドやAIといったサービス分野でどれだけ確固たる地位を築けるかが、今後の評価を分けるポイントになりそうです。
専門用語である「国際会計基準(IFRS)」に基づいた今回の報告は、グローバルな視点での透明性を高めるものです。退職給付費用の処理一つでこれほど数字が動く事実は、大企業の会計がいかに複雑であるかを物語っています。編集部の見解としては、目先の数字に惑わされることなく、デバイス売りからソリューション提供へと脱皮を図る富士通の挑戦を、2019年度の重要なターニングポイントとして注視していきたいと考えています。