歴史的な高値を続ける金(ゴールド)の相場で、各国の中央銀行が存在感を強めています。国際調査機関ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の発表によると、2023年の中央銀行などによる金の純購入量(購入量から売却量を差し引いたもの)は1000トンを超え、金全体の総需要の23%を占める規模に達しました。この動きは世界経済や金融の動向を映し出す重要なトレンドとなっています。
中央銀行が金を保有する歴史は19世紀の金本位制にまで遡ります。当時、通貨の価値を金で裏付ける仕組みが採用されており、その制度が1970年代に廃止された後も、金は外貨準備の重要な資産として保持され続けています。特に、2008年のリーマン・ショック以降、ドルへの信頼が揺らぐ中で金の需要が一層高まりました。
国別の保有量を見てみると、2024年6月時点で最も多くの金を保有しているのはアメリカで、その量は8133.5トンにのぼります。次いでドイツが3351.5トン、イタリアが2451.8トンと続き、国際通貨基金(IMF)も2814トンを保有しています。このように、先進国が多くの金を備蓄している一方、近年特に注目されるのが新興国の動向です。
2023年に最も金を購入したのは中国で、その量は224.9トンに達しました。背景には、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受けた制裁で、ドル建て資産が凍結されたことがあります。この事例を契機に、新興国はドル資産のリスクを一段と警戒し、金を外貨準備の重要な一部として積極的に購入するようになったのです。2023年時点で、主要国の外貨準備に占める金の割合は16%に達し、ドルに次ぐ地位を確立しています。
興味深い点として、WGCの調査では、中央銀行の約40%が市場を介さずに相対取引で金を購入していることがわかっています。また、新興国の41%は自国内で採掘された金を調達しており、最大の金産出国である中国の中央銀行もその例外ではないと見られています。金の主な保管場所としては、イングランド銀行が全体の55%を占め、ニューヨーク連邦準備銀行も12%を担っています。
SNSでは、「金がドルに代わる安全資産として注目を集めている」「新興国の動きがこれからの世界経済にどう影響するのか興味深い」といった声が多く見られます。また、「自国産の金を活用する戦略は賢明だ」といった肯定的な意見も広がっています。金市場は今後も各国の動きによって大きな注目を集め続けるでしょう。日々変動する相場の背景には、国際的な政治経済の複雑なドラマがあることを感じさせますね。